2006 Fiscal Year Annual Research Report
注意欠陥多動性障害(ADHD)児への統合的心理社会的治療の開発に関する研究
Project/Area Number |
17530691
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
岩坂 英巳 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (70244712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷間 英世 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40234968)
玉村 公二彦 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (00207234)
越野 和之 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (90252824)
根来 秀樹 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (80336867)
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Keywords | AD / HD / アスペルガー障害 / ペアレント・トレーニング / ソーシャルスキル・トレーニング / 学校場面での般化 / 行動療法 / セルフエスティーム / CPT(持続的注意集中力検査) |
Research Abstract |
本年度は、研究の達成にむけて下記の通り研究を進めた。 1.初年度に開発・実施した学校現場での教師用PTについて、一部改訂したものを引き続いて奈良県と和歌山県にて計3グループ実施した。 2.家庭、学校、児童相談所、保健センターなどでのPTの指導者(インストラクター)養成講座を2006年7月8-9日の2日間にわたって行った。 3.初年度に奈良市内の1小学校にて実施した現場教員と大学院生スタッフによるSST(通級教室型)について、一部改訂したものを2006年度も引き続いて実施した。また、他の1小学校においても通常学級全体での短期型SSTを4学年(1,3,5,6年生)計10クラスに対して実施した。 4.神経生理学的検査IVA-CPTの環境設定を調整し、まずコントロール成人36名に対してSSTの運動プログラムに準じた軽運動前後の注意集中機能の変化について測定し、その有効性を検討した。さらに、10歳AD/HD男児1名に対して同検査を行い、注意集中の指標が軽運動によって改善することを確認した。 5.これまでの研究成果について、2006年10月の第47回日本児童青年精神医学会総会において報告した。 これまでの取り組みのなかで、家庭や病院で行われていたPTやSSTを学校現場でも行うことによって、AD/HDだけでなく、アスペルガー障害の可能性のある子どもの適応行動を増やすことは有用であり、行動面に加えてセルフエスティームなど心理面での成長もみられるので、二次的障害の予防的意味も大きいことが明らかになってきている。また、SSTのプログラム中に行っている軽運動が脳生理学的に注意集中を改善する可能性が示唆され、今後さらに生理学的研究を発展させていく必要があると思われた。
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Research Products
(7 results)