2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工内耳装用児の聴覚情報処理能力の発達に及ぼすコミュニケーション様式の長期的影響
Project/Area Number |
17530694
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 信雄 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70132719)
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Keywords | 人工内耳 / 人工内耳装用児 / 聴覚情報処理能力 / コミュニケーション様式 / 長期的影響 / コミュニケーション能力 / 言語能力 |
Research Abstract |
1,教師・親の意識の変化: [教師]担当幼稚園担任教師,加配教員の人工内耳装用児に対する意識の変容では、文字情報,手話での情報保障に関する助言に対して,加配教員は変容が見られたが、担任教師の変容は見られなかった。また、コミュニケーションの拡大・音声言語の発達を促すための意識の変容は見られなかった。[親]親の変容は、補聴器、人工内耳いずれでも、子どもの声が出始めた時に大きな安堵感が生じた。しかし、その後の子どもとの係わりは、術前の指導機関の方針によって大きく異なっていた。指示的な親から受け身的な親までその係わり方は多様であり、いずれの場合も親の変容は極めて緩慢であった。 2,対象児の状況の変化: (1)コミュニケーション様式の変容:常用しているコミュニケーション様式に変化はなかった。しかし、小学生になると相手のコミュニケーション様式にあわせて、話しことばも併用することは多くなかった。 (2)聴覚情報処理能力の変容:単語の場合、手指併用群では音入れ後5年時点で60%〜90%であった。口話群では3年以上で80%以上であった。 (3)言語能力の変容:いずれの群でも、学年評価点で、1から5まで広範囲に分布していた。学年以上の成績の子ども達は、いずれも口話群であった。一方、言語力が向上せず、9歳レベル相当に留まる子ども達も認められた。特に、読字力は学年以上だが、語彙や文法力、読解・鑑賞力での生成が十分ではなく、聴覚障害の典型の型を示した。 (4)話しことばの変容:構音は、年数と共に改善が認められたが、聴取能力に依存するところが大きく、個人差が大きかった。 3,全国調査より、在籍児のいる学校は、難聴学級では、78校中37%程度であり、聾学校では、80%以上であった。指導病院との連携と学校独自のリハビリプログラムの開発が課題であった。 以上のことから、周囲の関係者の日常的な係わりが成績の著しい差に影響したものと考えられた。
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Research Products
(5 results)