2007 Fiscal Year Annual Research Report
人工内耳装用児の聴覚情報処理能力の発達に及ぼすコミュニケーション様式の長期的影響
Project/Area Number |
17530694
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 信雄 Ehime University, 教育学部, 教授 (70132719)
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Keywords | 人工内耳 / 人工内耳装用児 / 聴覚情報処理 / 聴取能力 / コミュニケーションモード / 長期的影響 |
Research Abstract |
1、親の意識は、小学校就学前ないしは聾学校に措置される前までは、聴覚を主体に考えているが、聾学校に入学した子ども達は手話を、通常小学校に入学した子ども達は自分の得意とするコミュニケーションモードを使用することが多かった。 2、2、対象児の変容:(1)コミュニケーション様式の変容:通常学校に通う児の場合、聴覚口話が多いが、十分には通じないと思われる児では、手話を併用している。この場合、親も子も手話が十分でなく、簡単な日常生活程度の簡単な手話しか使用されず、コミュニケーションが不十分となるだけでなく、意味概念上の深まりが極めて浅いことがわかった。(2)聴覚情報処理上の変容:コミュニケーションモードの使用の種類に係わらず、術後の年数と共に向上していった。音声情報処理能力は、電極の挿入具合ばかりでなく、術前の聴覚的な活用能力が大きく影響していると思われる。(3)言語能力の変容:小学校の低学年では、読字力、語彙力、文法力、読解・鑑賞力の各領域において学年相応の力を持っていても、聴覚的情報受容力が十分でない群では、読字力を除く各領域の力は、学年の上昇と共に差が大きくなった。(4)話しことばの変容:聴取能力に依存すると思われたが、聴取能力の向上だけでは、一部の音は歪んだり、鼻音化することも多く、発音指導が必要であった。手指コミュニケーションモード利用の児ほどその傾向は強かった。(5)聾学校で、体系的なリハビリプログラムを行っているのは、4校(7%)しかなかった。自立活動等で、独自のプログラムを行っている担当者は、18名(14%)にすぎなかった。また、コミュニケーションモード別に学級を編成している学校は、1校(幼稚部)であった。 いずれの項目においても、個人差が大きかった。リハビリ後の日常生活における親や教師など、周囲の人の姿勢が、術後の成績に大きく関連すると思われた。
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Research Products
(5 results)