2005 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児・者の就労支援に関する研究 -個別の移行支援プログラムの検討-
Project/Area Number |
17530695
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
上岡 一世 愛媛大学, 教育学部, 教授 (40284377)
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Keywords | 自閉症者 / 就労 / 個別移行支援計画 / 職場適応 / アフターケア / 連携 |
Research Abstract |
全国の知的障害養護学校高等部を平成15年、16年、17年に卒業し、企業就労している自閉症児246名を対象に卒業時点の資質(基本行動、基本的相互交渉、基本的職業技能、認知的対人行動などの能力及び障害特性)、現在の職場適応状況、就労が実現した理由、就労実現までの支援の実際(親の希望、本人の希望、職場への働きかけ、家庭への働きかけ、関係機関との連携、現場実習実施方法、学校での指導内容、進路指導の実際、各機関への要望、卒業後のアフターケア)などについてアンケート調査を実施すると共に、研究協力校による移行支援の実際を分析、考察した結果、効果的な就労移行支援のあり方として、次のような知見が得られた。 (1)ジョブコーチ支援事業、特定求職者雇用開発助成金、職場適応訓練制度などの援助制度を受けている者が多い。自閉症者は支援を受けながら職場に適応する存在である、と考えられる。 (2)早期からの就労生活を実現する一貫的、継続的な取り組みが功を奏している例が多い。 (3)就労者には生きていく上で最低必要な基本行動(基本的生活習慣など)が確立できていない者はいない。基本的相互交渉(指示の理解など)の能力も高い者が多い。 (4)現場実習をどれだけ積み重ねているかによって就労が決まっている。学校の作業学習よりも現場実習の方が、作業量、適応状態がよい。 (5)就労者の約半数が個別の移行支援計画を作成しており、その半数が就労実現に役立った、と証言している。 (6)職場適応には職場と親と学校との連携が不可欠である。 (7)長期にわたるアフターケーができる体制を整える必要がある。 (8)職場での課題は仕事面より生活面(余暇の利用、金銭の扱い、人間関係等)の方が多い。 (9)就労の実現は学校卒業後の個別移行支援計画をどのように策定するかがポイントである。
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Research Products
(2 results)