2005 Fiscal Year Annual Research Report
超幾何微分方程式とそのシュワルツ函数に関する数論的研究
Project/Area Number |
17540011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
志賀 弘典 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (90009605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北詰 正顕 千葉大学, 理学部, 教授 (60204898)
安田 正実 千葉大学, 理学部, 教授 (00041244)
杉山 健一 千葉大学, 理学部, 助教授 (90206441)
松田 茂樹 千葉大学, 理学部, 助教授 (90272301)
多田 充 千葉大学, メディア基盤センター, 助教授 (20303331)
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Keywords | 超幾何函数 / 超幾何微分方程式 / シュワルツ写像 / 保型形式 / 算術幾何平均 / 周期 |
Research Abstract |
本年度に得られた成果は以下の通りである。 1799年にガウスによって得られた算術幾何平均に関する三位一体定理は、その後直接の拡張は発見されていなかった。 近年では、パリ大学のMestre, Bostまたオランダ・ライデン大学のEdixhovenらがこれらの研究に関わってきたが、1991年JonathanおよびPeterのBorwein兄弟が超幾何函数F(2/3,1/3,1;x)を用いる3次算術幾何平均を発見して、上記定理のvariantを導いた孤立した結果が唯一の成果であった。 研究代表者らは山梨大学の小池健二氏と協力して以下の事実を証明した。 そのヤコビ多様体が1の立方根による広義虚数乗法を持つ種数3の曲線はPicard曲線と呼ばれ複素2変数のパラメータを含んで表示される。その周期はパラメータの関数として2変数超幾何微分方程式を満たし、さらにそのシュワルツ写像からPicard保型形式を導かれる。 このPicard保型形式はガウスの場合と同様の"同種公式"を持つことを示した。この同種公式から、上記Borwein兄弟の結果をその退化した場合として含む新しい2変数の算術幾何平均を導いた。この拡張された算術幾何平均は2変数の三位一体定理も成立させていることが分かった。 この発見によって、算術幾何平均という素朴なシステムが、算術、代数幾何、微分方程式論にまたがる大きな一般論へ広がる可能性を帯びてきたものと考えられる。 また、Picard曲線に関してはドイツ・エッセン大学のG.Frey初め複数の数学者が新しい暗号理論の基礎になるものとして注目し始めている。われわれの研究はこのような方向でもさきがけとなるものと期待を持っている。
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Research Products
(2 results)