2006 Fiscal Year Annual Research Report
不定値二次形式のテータ級数に関する直交群の幾何的保型表現の数論
Project/Area Number |
17540038
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮崎 琢也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (10301409)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 芳彰 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (90325043)
田中 孝明 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (60306850)
八森 祥隆 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (50433743)
|
Keywords | 実解析的保型形式 / アイゼンシュタイン級数 / 正規化メリン変換 / 半整数重さ / 留数形式 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は次の2点である. 1.重さ0の次数2の実解析的ジーゲル・アイゼンシュタイン級数から得られる留数形式を研究した。この留数形式が生成する実シンプレクティック群のユニタリ表現の性質と、フーリエ展開に現れる合流型超幾何函数の特性を関連づけ、典型的な実解析的保型形式の特徴として提示した。さらにこの留数形式の正規化メリン変換を計算し、留数形式の実部分多様体への制限におけるスペクトル分解を保型L函数によって明示的に記述した。またこのスペクトル分解を記述する有理型函数の函数等式、極の決定などを行った。これらによりこの種の実解析的保型表現の新しい構成法を定式化するための基礎的な知見が得られたと考える。以上は長谷川泰子氏との共同研究で、結果は学術誌に投稿し受理審査中である。 2.半整数重さk-1/2の実解析的コーエン・アイゼンシュタイン級数と重さ1/2のヤコビテータ函数から構成できる、重さk、レベルDのNeben型実解析的楕円保型形式の性質を研究した。その結果まずこの実解析的保型形式を積分核函数として用いることにより有理数体上の楕円尖点形式の実あるいは虚二次体への持ち上げ理論に関係するある保型L函数の積分表示を与えることができることを明らかにした。これによりこのL函数の有理型接続、函数等式を決定した。また構成した実解析的核函数のフーリエ展開は二次体のL函数の特殊値、および合流型超幾何函数を用いて明示的に書き表すことができる。これにより核函数の実解析的変数の特殊化におけるローラン展開の主要項、および第二項を明示的に調べることができ、対応する保型L函数の特殊値のひとつの明示公式を与えることができた。これからこの表示のもつ異なる観点からの意味を明らかにしたいと考える。以上は長谷川泰子氏との共同研究である。
|
Research Products
(1 results)