Research Abstract |
本研究では,多項式Pell方程式の解についての研究を,有理数上での1/xに関する形式的ローラン級数からなる体において連分数展開を定義し,連分数展開の周期を用いて行った.その結果,Dが整数係数モニック多項式の場合,多項式Pell方程式は,その平方根の連分数展開の周期が偶数のときに有理数係数多項式解を持つことを示すことができた.さらに,この結果は必要十分条件であることを示すこともできた. 次に,多項式Pell方程式の自明でない解の中から,次数の最も低い解を最小解とし,Dを4次のモニック多項式とすると,最小解の次数とDの係数から作る有理点の楕円曲線上での位数との間に密接な関係があることが分かった.Mazurの定理より最小解の次数は2,3,4,5,6,7,8,9,10,12のどれかであることが示せた.ここで,最小解の次数から得られる連分数展開の周期を詳しく調べると,連分数展開の周期は1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,14,18,22のどれかであることが示せる.すでに,周期1,2の場合については,研究を終えているので,周期3の場合についての研究を行った結果,Dが4次の整数係数モニック多項式の場合,周期が3の連分数展開は存在しないことを示した.これより,Dが4次の整数係数モニック多項式の場合には周期が奇数の連分数展開が存在しないのではとの推測に至り,多項式Pell方程式が有理係数解を持っための必要十分条件は,連分数展開の周期が2,4,6,8,10,14,18,22の場合であること示し,これらの結果を論文として発表した.
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