2006 Fiscal Year Annual Research Report
多重ゼータ関数の研究および多重ゼータ値の計算プログラムの開発
Project/Area Number |
17540053
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
津村 博文 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助教授 (20310419)
|
Keywords | 代数学 / 整数論 / ゼータ関数 |
Research Abstract |
本研究は,昨年度に引き続く形で二年目に入った。本年度も研究代表者は、本研究の研究課題について、理論的な研究を行うために、関連の文献の購入、さらに国内外の研究者との交流を深め情報交換を行い、それらをもとにして、現在得られている多重ゼータ関係の結果を整理し、新しい結果を理論的に構成することに努めた。具体的な交流としては、現在共同研究中の名古屋大学の松本耕二教授,および同大学の小森靖助手との定期的な研究打ち合わせ、またこの分野で活躍しているフランスの数学者G.Bhowmik氏(Lille大学・助教授),D.Essouabri氏(Caen大学・助教授)等との研究打ち合わせを行い、広く現在の研究状況を把握した。 今年度の特に成果のあがった研究テーマとしては、多重ゼータ関数と関連する多重ポリログの研究である。多重ポリログとは、いわゆる一般のポリログの多重和として定義されるもので,分子の変数が全て1になる場合にいわゆる多重ゼータ関数と一致するものである。この性質を調べることにより、例えば既知の方法では評価できなかった多重ゼータ関数の漸近的性質が明らかになることがわかってきている。特に上記の松本耕二氏との共同研究で,ある良い性質を持った多重ポリログの多変数複素関数としての解析接続の証明に成功した。また特に二重ポリログに関しては,二重ゼータ関数の関数関係式を含むようなある種の関係式を証明し,その特殊値を考えることで,既知のポリログの満たす公式の二重化版にあたるものが得られた。この関連として,松本氏,小森氏との共同研究で,Wittenゼータ関数と呼ばれるものの解析的な性質に関する結果も得られた。これらの結果に関して、2006年11月にCaen(フランス)で行われたWorkshop on Zeta functionsで講演を行った。
|
Research Products
(5 results)