2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540096
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉岡 朗 東京理科大学, 理学部, 教授 (40200935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 民夫 東京理科大学, 工学部, 教授 (10120205)
小池 直之 東京理科大学, 理学部, 講師 (00281410)
前田 吉昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40101076)
宮崎 直哉 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (50315826)
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Keywords | 変形量子化 / deformation quantization / 非可換幾何学 / シンプレクティック幾何学 |
Research Abstract |
1.変形量子化の順序問題とは、数学的には、ワイル代数を複素多項式のなす非可換代数として表現することであることを明らかにできた。たとえば、典型的なワイル順序は、複素多項式の空間に入るMoyal積に対応し、正規順序は擬微分作用素積に対応している。さらに、複素対称行列Kを用いてMoyal積の一般化(K-Moyal積)を考え、順序問題の数学的な一般化を定式化することができ、これをK-順序と呼んだ。おのおののKによるK-順序積は異なるが、これらはみな一つのワイル代数の異なる表示であるとみなすことができ、これらの積のintertwinersも具体的に与えることができる。さらに、K-順序表示の集まりがワイル代数の表示全体であることを幾何学的に定式化することができた。すなわち、複素対称行列全体の空間上のK-Moyal積もつ多項式代数のファイバー束があり、intertwinerによる同一視はこの束の平坦接続であり、ワイル代数の一つの元はこの代数束の一つの平坦な切断面である。このような描像で、収束する変形量子化代数を幾何的に扱うことができる。 2.1次式の指数関数のなす非可換な代数を用いて楕円関数の関数等式を導くことができた。さらに非可換なFourier変喚・Laplace変換などこれらを用いて考えることができ、Gamma関数、delta関数など、多くの関数の非可換化を与えることができた。2次式の指数関数のなす非可換代数の幾何学的な描像も上のファイバー束を用いて整理することができた。また、今までの研究でgerbeがこの代数に表れることがわかっていたが、平坦接続を用いてこの機構を幾何学的に表すことができた。以上述べたように本研究計画において、変形量子化代数が幾何学的に捉えられるようになり、これにより、変形量子化代数の研究の方向性が明確になったと思われる。
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