2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
笠原 勇二 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (60108975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 就将 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (10183964)
籠屋 恵嗣 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (40323258)
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Keywords | ブラウン運動 / 拡散過程 / 逆正弦法則 / 安定分布 / ベッセル過程 |
Research Abstract |
確率過程の加法的汎関数の代表的なもののひとつに半直線上の滞在時間が挙げられる。とくにブラウン運動の場合については、正側滞在時間の分布は逆正弦法則に従うことがよく知られている。勝敗が五分五分のゲームを続ける場合、勝っている(勝率が5割を超えている)期間と負けている期間は直感的には半々程度である可能性がもっともありそうに思えるが、この定理によれば、逆にそのような確率は最も少なく、実は、ほとんどの期間で勝っているかその逆に負けているかの確率が高いことが分かる。このことは株価変動などを考えるとき重要な知見である。 本研究ではこの逆正弦法則の一般化として、一次元拡散過程の場合を考えた。ベッセル過程については、正側滞在時間の分布はランペルティの分布に従うことが知られており、その密度関数も具体的に知られている。さらに渡辺氏により、一般の一次元拡散過程について、正側滞在時間の割合に関する極限分布は上記のランペルティの分布だけであることが示され、また、その極限をもつ(牽引域に属する)ための必要十分条件がスピード測度の言葉で与えられている。しかしながら、特に、その拡散過程が、再帰的ではあるがその再帰が非常にゆっくりであるような場合、すなわちスピード測度が遠方で非常に重い(指数的に増大する)場合は、その極限分布は2点分布に退化してしまう。本研究では、このようなときは両対数目盛で考えると、退化しない意味のある極限確率過程が得られることが証明できた。このことは渡辺氏との共著として論文にまとめ、Periodica Mathematica Hungaricaなどにて出版された。なお、再帰が非常に早い場合にも片側滞在時間の極限分布は退化するが、この場合についても正規化を変えることにより、安定分布が極限に現れることも示した。
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Research Products
(5 results)