2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540111
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
谷口 礼偉 三重大学, 教育学部, 教授 (40157970)
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Keywords | 擬似乱数 / アルゴリズム / カオス写像 / ハッシュ関数 |
Research Abstract |
本研究は、従来からの代数的な手法とは異なる方法、すなわち、カオス写像Φ_X,X∈[1,2),を利用して擬似乱数を非再帰的に生成する方法(SR法)の研究である。現在よく使われている擬似乱数生成法は、単一計算機で直列的に乱数を生成するアルゴリズムを用いているため、最近の計算機(特に並列計算機)の特性を十分に生かし切れているとは言い難い。SR法はk番目の乱数を直接生成するので、特に並列計算に向いている乱数生成法である。 前年度までの研究で、Φ_X^<24>(1)の最初の3桁を棄て、続く4桁をとった数値は、Xを変化させていくと一様乱数になり、W_0,V_0を適切に選んで、Φ_X^<24>(1)の代わりにΦ_X^<24>(W_0)-Φ_X^<24>(V_0)を使えば乱数特性が著しく改善されることが分かっている。 本年度はこれらのアルゴリズムを全整数演算化する研究を行った。すなわち、SR法は本質的に浮動小数点演算を用いるが、浮動小数点計算は計算機(特にCPU)に依存する性格をもっている。そのため、SR法で生成される乱数は、計算機により微妙に異なることがある。どの計算機でも同一の乱数が生成されるためには、アルゴリズムをすべて整数演算で実現する必要がある。しかしながら、浮動小数点演算を単に整数演算でエミュレートしただけでは乱数生成速度が極端におちてしまうため、新たに、64ビット整数を乗算したときに生ずるオーバーフローを利用する方法を研究した。その成果として、全整数演算化されたアルゴリズムSSI32を考案した。SSI32に対して、NISTが提供する乱数の検定を行った結果では、他乱数と同等の値を得ている。これらの成果は国際会議MCQMC2006で発表された。また、SSIアルゴリズムは、生成される乱数長に依存しないため、非常に長い桁数をもつ乱数の生成が可能である。その準備的な研究として、160ビットの乱数長をもつハッシュ関数SSI160を構築した。
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Research Products
(3 results)