2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千原 浩之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70273068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤家 雪朗 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教授 (00238536)
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Keywords | 擬微分作用素 / 実主要型作用素 / 分散型偏微分方程式 / 初期値問題 / 適切性 / エネルギー法 / 局所平滑効果 |
Research Abstract |
非コワレフスキー型の偏微分方程式で初期値問題が未来にも過去にも一意可解であるものは分散型とよばれる。物理学に現れるシュレーディンガー方程式やKdV方程式は分散型偏微分方程式の代表的例である.一方,ラプラス作用やダランベール作用素などのある種の微分作用素は実主要型とよばれる.本研究では分散型偏微分方程式の初期値問題の適切性や解の性質及び非線形問題への応用について,実主要型作用素の研究と併せて,偏微分方程式論や調和解析学の立場で考察する。特に初期値問題が適切となるための低階項のみたすべき条件の考察,基本解の基本的性質であるところの時空間における可積分性や微分の意味での局所平滑効果、定数係数可積分性の意味での平滑効果の解析、非線型問題への応用について考察する。 本年度,研究代表者の千原は,定数係数の低階項を含まない分散型擬微分方程式の初期値問題の解の時間大域的重みつき平滑化評価について考察した.得られた成果は以下の通りである: 1.微分階数に低階項を含まない平滑化評価はChihara(2002)により対応する主部のレゾルベント評価として得られているが,主部が楕円型でない一般の実主要型も含めて考察しているので非常に複雑な手法になっている.そこで主部が楕円型の場合に限ってスペクトル理論的に考察することによって主部のレゾルベント評価の非常に単純明快な別証明を与えた. 2.微分階数に低階項を含む平滑化評価は主部がラプラス作用素の場合にのみ得られている.これはレゾルベント評価に低周波数帯の特異性が現れるが,これでは表象の単位余接の曲率が本質的に関わっているのか否かわからない.そこで1と同様の手法を用いて低階項のない全ての定数係数楕円型作用素に対して対応する主部のレゾルベント評価を与えた.これにより単位余接球面の曲率条件はレゾルベント評価にとって本質的でないことがわかった.
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Research Products
(2 results)