Research Abstract |
1.単位円板上の有界解析関数空間上の荷重合成作用素の位相構造については,泉池敬司,細川卓也との共同論文として発刊したが,引き続いて合成作用素の一次結合について,compact性,essential normの評価に取り組んだ.compact性については完全に特徴づけ,norm評価については係数が正の場合のときの成果を得た.作用素論の研究者にとっては,むしろ作用素の「和」に興味があることが知られているので,一次結合についての研究は新たな発展が予想される.また有界調和関空間上の場合についても,合成作用素の一次結合の考察を提起した. 2.有界調和関空間上のHankel-type作用素のcompact性,完全連続性も泉池教授との共同研究によって明らかにし,論文として発行した.この研究はDunford-Pettis性質,tight環,Bourgain環に関係するなど重要な応用面を多く持っている.引き続き,Hardy, Bergman空間の場合についても研究を行い,その結果の一部を研究集会等で発表しているが,「今までにないアプローチ」というコメントを得ている. 3.本研究課題の研究協力者である細川卓也と,Bloch空間上の合成作用素のcomponentをcompact性で特徴づけ,位相構造を考察したが,その結果は論文として発刊の予定である.また,差のcompact性についての結果も投稿中である. 4.合成作用素と微分作用素の積について,N.Pornoyがその学位論文(1998)で紹介し,その有界性、compact性を特徴付けたが,逆順の微分作用素と合成作用素の積については,Hardy空間上の場合の特徴付けは残されていた.この問題を考察,6月に韓国ソウルのKorea大で開催された「International Work Shop on Function Theory」において,招待講演として発表.その後論文として投稿,受理された. 5.懸案である再生核をもつようなBanach空間からBloch空間への荷重合成作用素の有界性,compact性の特徴付けについては,共同研究者のK.Stroethoff(米・Montana大)も前述の研究集会に参加していたため,研究打ち合わせをその会で行った.そして,我々の場合に含まれないweighted Dirichlet空間の場合の問題を提起した.
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