2007 Fiscal Year Annual Research Report
複素GINZBURG-LANDAU方程式の多面的研究
Project/Area Number |
17540172
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
岡沢 登 Tokyo University of Science, 理学部第一部, 教授 (80120179)
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Keywords | 複素Ginzburg-Landau方程式 / 平滑化作用 / Lebesgue空間 / Sobolev空間 / Laplacianの固有値問題 / 固有関数の評価 / Schroedinger作用素 / quasi-m-accretivity |
Research Abstract |
今年度の研究は,非自己共役(quasi-m-accretive)なSchroedinger作用素,Laplacianに対する固有値問題の固有関数の絶対値の評価,複素Ginzburg-Landau方程式に関するものの3つに分けられる. 1.一昨年秋に,報告者による二編の論文(1984,1996)を引用する論文G. Metafune, J. Pruess, R. Schnaubelt, A. Rhandi, L^p-regularity for elliptic operators with unbounded coefficients,Advances in Differential Equations 10(2005), 1131-1164を見つけたことで、古い記憶がよみがえり、故加藤敏夫先生の論文T. Kato, Nonselfadjoint Schroedinger operators with singular first-order coefficients, Proceedings of the Royal Society of Edinburgh 96A(1984), 323-329を思い出した.その結果「11.研究発表」のひとつ目の論文が出来上がることになった. 2.N次元空間の有界領域でLaplacianに対する固有値問題を考える.n番目の固有値に対応する固有関数をe_nで表す.そのとき絶対値|e_n|がn番目の固有値のN/4乗の定数倍で上から抑えられるという結果が示せた.同僚の宮島教授に話したところ,具体例で計算してみるとベストに近いのではないかといわれている.これはSobolev空間に属する関数の絶対値をSobolev空間のノルムで評価する問題(論文は現在投稿中)の副産物である.1次元(N=1)の(量子力学的)調和振動子の場合の固有関数の評価に(固有値+1)=2(n+1)の1/4乗が現れることとつながりそうである. 3.複素Ginzburg-Landau方程式について得られた結果は有界領域上の初期境界値問題で,初期値をLebesgue空間L^p(p>2)から取った場合を論じたもので,その系として初期値をSobolev空間H^1から取ったGinibre-Velo(1997)の結果が再現できた.しかもGinibre-Veloは触れていない初期値をSobolev空間H^m(mは自然数)から取った場合には非線形項の冪の指数の許容範囲がさらに広がることも示せた.そこでは初期値に対する平滑化作用も示されており,これらの結果は,ほぼ最終的といっていい段階に達しているように感じられる.第一報として有界領域の場合をまとめた論文は国内での国際会議の報告集(refereed Proceedings)に投稿中であるが,間違いなく掲載されると予測して「11.研究発表」のふたつ目の論文とした.一般の領域の場合にはL^pがL^pとL^2の共通部分に置き換わる.
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