2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540173
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山崎 多恵子 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (60220315)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆夫 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90178319)
立川 篤 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50188257)
牛島 健夫 東京理科大学, 理工学部, 講師 (30339113)
柳下 浩紀 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 研究拠点形成特認研究員 (80349828)
|
Keywords | 抽象波動方程式 / 摩擦項 / 漸近挙動 / 減衰 |
Research Abstract |
Hilbert空間上の時間変数係数摩擦項を持つ抽象線形波動方程式の解の漸近挙動が対応する抽象的線形放物型方程式の解と同じになることを示した。摩擦項の係数が小さく、たとえば、-1よりも大きい多項式オーダーの時間変数関数を摩擦擦項の係数として持つ線形波動方程式の解は、摩擦項のないフリーの波動方程式の解に漸近的に近づくことが知られている。一方、定数係数の摩擦項をもつ線形波動方程式の解は、対応する線形熱方程式の解に漸近的に近づくことも知られている。本研究では-1よりも小さい多項式オーダーの時間変数関数を例に含む、漸近的に小さくなるような時間変数関数を摩擦項の係数として持つ抽象線形波動方程式の解が、対応する抽象線形放物型方程式の解に漸近することを示した。すなわち、このときは、摩擦項の大きさが時間とともに減衰するにもかかわらず、摩擦の効果は十分であり、摩擦項をもつ波動方程式は放物型方程式に近いことがわかった。さらに、この抽象的結果を外部領域上の摩擦項をもつ線形波動方程式のDirichlet問題および第3種問題に応用した。 方法は、まず、抽象的枠組みでとらえ、Hilbert空間上の摩擦項のある抽象線形波動方程式の解と抽象放物型方程式の解をスペクトラル分解により高周波成分と低周波成分に分解した。但し、摩擦項の係数の大きさが時間に依存するので、係数の大きさに応じて高周波成分と低周波成分に分解の仕方を変え、高周波部分は指数オーダーで減衰することを解自身の減衰評価よりも示した。低周波成分については、摩擦項のある抽象線形波動方程式の解をさらに減衰の早い波と遅い波に分解し、それらを他の関数に変換し、方程式を新しい2つの関数に対する積分方程式系に変換した。この方程式系から、減衰の遅い波と対応する放物型方程式の解との差、及び減衰の早い成分に関する積分評価式を導き、摩擦項のある波動方程式の解と放物型方程式の解の差のノルムの時間に関する減衰評価を示した。この評価は解自身の持つ減衰評価よりも速く、2つの方程式の解は同じ漸近挙動を持つことがわかった。
|
Research Products
(5 results)