2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540185
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒木 玄 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (10234593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 浩司 東北大学, 大学院理学研究科, 講師 (30208483)
菊地 哲也 東京大学, 大学院数理科学研究科, 研究拠点形成特任研究員 (00374900)
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Keywords | 可積分系 / モノドロミー保存変形 / パンルヴェ系 / 離散化 / 量子化 / 共形場理論 / 量子群 |
Research Abstract |
本研究の目標の一つはBerenstein-Kazhdanの幾何結晶含む離散古典系の量子化であった。その重要な例として梶原・野海・山田が構成したm×n行列全体の空間への2つのA型拡大アフィンWeyl群有理作用がある。平成17年度までに黒木はm,nの片方が2でもう一方が奇数の場合の量子化を構i成していた。黒木はその結果を平成18年度にm,nが互いに素な場合にA型アフィン量子群を用いて拡張した。これによって幾何結晶の重要な例の一つと量子群が関係付けられたことになる。しかし幾何結晶と柏原結晶のLanglands双対性の存在は謎のままであり、課題として残されたままになっている。 さらにその研究の副産物として量子群とWeyl群の有理作用の量子化の関係を明確にすることができた。量子群のChevalley生成元の複素べきの作用によって任意の一般Cartan行列(GCM)に付随するWeyl群有理作用のq差分版量子化を構成することができる。Weyl群有理作用はPainleve系の現代的解釈において基本的なので、これによってPainleve系と量子群が関係付けられたことになる。(この構成は本質的に後述する長谷川のq差分量子版のWeyl群有理作用も含んでいる。) さらにそれに関連してALBL=LCLD型の関係式によって特徴付けられるL作用素の重要性も明らかになった。通常の量子群のL作用素はRLL=LLR型の関係式によって特徴付けられる(FRT構成)。しかしWeyl群有理作用を持つような量子系のL作用素を扱うためにはより一般的なALBL=LCLD型の関係式が必要になる。ALBL=LCLD型の関係式を満たすL作用素から構成される互いに可換なHamilton作用素たちはWeyl群有理作用で不変であると予想しているが、まだ証明は付けられていない。Weyl群作用で不変な作用素の構成は残された基本的問題のひとつである。 以上の結果は部分的に研究集会「数理物理における新たな構造と自然な構成の探求」(名古屋大学多元数理、2007年3月5-8日)で発表された。 長谷川はGCMに付随するq差分量子版のWeyl群有理作用の構成と量子Painleve VI系の構成の2つの結果を2007年のプレプリントで発表した。 菊地は通常の微分版およびq差分版のPainleve VI系を無限化積分系(ソリトン系)の相似簡約によって構成することができることを示した。
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Research Products
(2 results)