2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540198
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱地 敏弘 九州大学, 大学院数理学研究院, 名誉教授 (20037253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿谷 安男 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (00175077)
湯浅 久利 慶応義塾大学, 理工学部, 准訪問研究員 (50363346)
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Keywords | 記号力学系 / finitary isomorphism / Dyeの定理 / embedding of symbolic dynamics / orbit equivalence / Dyck shift / binary odometer / finitary orbit equivalence |
Research Abstract |
有限的符号化によるエルゴード保測力学系の軌道同型定理を得、結果の一部は既に海外の専門誌(査読付き)に公表した。研究成果は3部に分かれ、いずれも海外研究協力者であり、ベルヌーイ力学系の有限的符号化研究の第一人者として知られるM.Keaneとの共同研究である。 1.力学系の有限的符号化法を初めて軌道同型問題に導入し、対象の力学系を限定して有限的軌道同型定理を得た。この結果は既にBulletin of London Mathematical Society(2006年)から出版した。 2.対象の力学系を、満足できるもっとも一般の測度付きブラッテリ図形から定まる力学系のクラスに広げ最終的に、有限的軌道同型定理を確立した。結果はPolandの専門誌Colloquium Mathematicumに掲載されることが決まった。 3.得られた有限的符号化法による軌道同型定理を用い、10数年来未解決であった極小カントール系の位相軌道同型問題の予想解決へ応用した。90年代前半に得られた画期的成果、GPS-定理とも言われる極小カントール系の位相軌道同型定理について、その理論の壮大さとあまりの難しさから、純粋に力学系的手法による理論の再構築が求められていた。そのGPS一定理は、極小カントール系が互いに位相軌道同型であるためには、お互いの間に一様に保測的な同相写像が存在することが必要かつ十分であると主張している。一方、われわれの定理で得た有限的軌道同型写像は、密接にこの一様に保測的な同相写像と関連しており、この関連が突破口となり、懸案の予想の解決に至った。結果は、2006年6月、ポーランドで開催の力学系シンポジウム(Workshop on Ergodic Theory and Dynamical Systems)で公表した。
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Research Products
(2 results)