2007 Fiscal Year Annual Research Report
原始惑星系円盤上空衝撃波によるダスト加熱とコンドリュール形成
Project/Area Number |
17540211
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中本 泰史 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60261757)
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Keywords | コンドリュール / 衝撃波加熱 / 3次元形状 / ガス動圧 / 輻射輸送 |
Research Abstract |
本研究ではこれまで,電磁流体力学数値シミュレーションを行って中心星近傍で発生したX線フレアを起源とする星風が原始惑星系円盤に衝突し,衝撃波が発生することを確かめた.また,状況によってはこれらの衝撃波はコンドリュール形成やダストの加熱結晶化にとって適当な衝撃波となることも明らかにした。ただし,X線フレアの性質と発生する衝撃波の間の関係については,不明の点がまだ多かった。 19年度はこれらの点の物理的な理解を深めることを目標とし,数値シミュレーションを行った。その結果,(1)3AU程度以内ならば,円盤の上空に強い衝撃波が発生してダスト粒子を十分加熱することが可能なこと,(2)X線フレアによって発生した星風は磁場によるコリメーションを受けるため,5AU程度よりも外には影響を及ぼしにくいこと,などがわかった。 一方,発生する衝撃波の性質をより的確に理解することが出来るようになり,衝撃波の発生場所,すなわち,ダストが加熱を受ける場所をより具体的に議論することが出来るようになった.このことにより,加熱を受けて結晶化したダストが彗星に取り込まれる可能性について,検討することが可能となった。それによれば,X線フレアに伴って発生する円盤上空衝撃波で加熱・結晶化できるダスト粒子は中心星から5AU程度までのものであるから,彗星中の結晶化ダストがそのようなものであるとすると,なんらかの機構によって5AU以内にあったダスト粒子を彗星形成領域(30AU程度)まで運ぶ必要があることになる。 ダスト粒子の輸送機構にはいくつかの可能性があるが,今後はそれらの輸送機構の適否を詳しく検討することが必要になるだろう。
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Research Products
(16 results)