2005 Fiscal Year Annual Research Report
過去2000年における地球自転速度の急激な変動の検出
Project/Area Number |
17540223
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
相馬 充 国立天文台, 光赤外研究部, 主任研究員 (30187885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 清隆 国立天文台, 理論天文部, 助教授 (80125210)
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Keywords | 歴史天文学 / 地球自転速度変動 / 日食 / 天体暦 / 潮汐項 / 掩蔽 |
Research Abstract |
申請者らは科学研究費補助金・特定領域研究「江戸のモノづくり」の平成14〜15年度公募研究において,複数の同時代日月食を使って地球回転パラメータΔTと月の潮汐項を同時に決める新しい手法を開発した.これによって特に,西暦628年の日本書紀最初の日食記録でもある皆既日食記録が,それまで誇張表現とされてきたのに対し同時代の中国の日食記録や日本書紀の火星食の記録などとも矛盾がないことを見出し,真の記録であることを明らかにした.これにより,ΔTの値は紀元前から現在に至るまでその変化の割合が一定でないことがはっきりした.今年度の研究では,特に西暦300年から1100年までのΔTの値の変化に注目した.西暦360年,454年の中国の日食記録ではΔTの値が7000秒前後であることを示しているのに対し,616年の中国と628年の日本の日食記録では2500秒程度に減少している.これまでの常識では,ΔTの値のこのような急激な変動は考えにくかったが,この変化が,484年のアテネの日食記録,516年・522年・523年の中国の日食記録と一致することを見出し,急激な変動が本当に起こっていたことを明らかにした.さらに,873年のイランと京都の日食記録はΔTの値が3500秒前後を示しているのに対し,912年のスペインの日食記録では2600秒以下になり,ここでも急激な変動が真のものかが問題となったが,西暦800年以前の中国の日食記録や891年のトルコの日食記録が912年の記録を支持しているのに対し,939年のスペインの日食記録や968年のヨーロッパ数都市の日食記録などが912年の記録を支持していることから,やはり,西暦900年前後の急激な変化も真のものであることがはっきりした.以上の研究から,ΔTの値に西暦454年と616年の間では3000秒以上の,また西暦873年と912年の間では600秒以上の急激な変化があったことが判明した.
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Research Products
(7 results)