2006 Fiscal Year Annual Research Report
過去2000年における地球自転速度の急激な変動の検出
Project/Area Number |
17540223
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
相馬 充 国立天文台, 光赤外研究部, 主任研究員 (30187885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 清隆 国立天文台, 理論研究部, 助教授 (80125210)
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Keywords | 歴史天文学 / 地球自転速度変動 / 日食 / 天体暦 / 潮汐項 / 掩蔽 |
Research Abstract |
申請者らが開発した,複数の同時代の日食を使って地球自転回転角パラメータΔTと月の潮汐項を同時に決める手法によって,紀元前200年以降,現在まで月の潮汐項がほぼ一定であることが明らかになった.これは,紀元前198年から紀元前181年までの中国とローマにおける皆既日食と金環日食の記録,および,紀元後616年,628年,702年の中国と日本における皆既日食や皆既に近い日食と紀元後681年の日本の火星食の記録などから判明した事実である.ΔTの値については,紀元後1年以後1200年までの中国や欧州の日食記録を調査し,454年と616年の間の3000秒以上の急激な減少と873年と912年の間の、600秒以上の急激な減少の他には特に目立った変化がないことがわかったが,ΔTの値が他の期間では減少傾向にあるのに対して,616年と873年の間ではほとんど変化がないか,むしろやや増加していることが明らかになった.この決定に関しては,616年の洛陽の記録と628年の飛鳥の皆既日食の記録(これらからはΔTの値が当時2962秒以下であったことがわかる)と873年の京都の金環日食の記録(これからはΔTの値が当時3242秒以上であったことがわかる)が重要な役割を果たしており,その間の期間になる702年,729年,761年,822年の中国における皆既またはそれに近い日食の記録と840年のベルガモ(イタリア)の皆既日食の記録などもそれと矛盾のないことが判明している.この他,ΔTの決定には月食の時刻記録も有用であり,将来の解析に用いるため,世界の古代におけるこれらの記録を収集し,計算機で扱えるファイルとして保存する作業も行った.
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Research Products
(7 results)