2006 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核の応答・反応における多粒子系ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
17540231
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中務 孝 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (40333786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢花 一浩 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (70192789)
橋本 幸男 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (50189510)
伊藤 誠 理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 協力研究員 (30396600)
上田 学 秋田工業高等専門学校, 自然科学系, 助教授 (00369919)
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Keywords | 原子核構造 / 原子核反応 / 応答関数 / 時間依存密度汎関数理論 / 時間依存平均場理論 |
Research Abstract |
本年度は、 (1)新しい試みとしての確率論的アプローチに基づく配位混合計算 (2)断熱的自己無撞着集団座標理論のゲージ不変性と数値不安定性の解消 (3)少数系の応答・反応計算 の3つにおいて大きな進展があった。 まず、(1)に関しては、これまでの密度汎関数理論に基づく配位混合計算では、直感的に選ばれた生成座標と呼ばれるパラメータにより重ね合わせる状態を用意するため、経験的計算にならざるを得なかったが、我々はこれを確率論的アプローチにより非経験的計算法に格上げさせた。いくつかの数値的困難に直面したが、これらを解決できたものと思われる。(2)は、多体系において最適な集団座標や質量パラメータを自動的に計算できる理論であるが、これまで実際の計算では不安定性があり、天下り的処方によりこれを回避していた。今回、この原因が理論のゲージ不変性にあることが分かり、不安定性を理論と矛盾なく取り除く方法が開発された。これにより、今後、さまざまな応用への道が開かれ、大きな発展が期待できる。(3)では、弱束縛ハロー原子核の3体模型により、^6He、^<11>Liなどの2中性子ハロー核のクーロン分解反応の解析、特に2中性子間の対相関が観測量にどのように影響しているかについての解析を行った。最近理化学研究所で得られた実験データとの比較を現在実行中である。また、時間依存波束法による中性子ハロー核の融合断面積計算も実行し、いくつかの実験データと比較、これにより、昨年度明らかにした弱束縛系における融合断面積の減少を確かめ、核子移行反応による断面積の増大は、束縛エネルギーがある程度大きいときにのみ可能であることを明らかにした。 (1)については、理論と計算手法に関する論文が掲載され、現在Skyrme相互作用への応用についての論文を準備中。(2)は論文掲載。(3)は融合反応に関する論文が掲載。応答関数については現在準備中である。
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Research Products
(6 results)