2007 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核の応答・反応における多粒子系ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
17540231
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中務 孝 The Institute of Physical and Chemical Research, 中務原子核理論研究室, 准主任研究員 (40333786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢花 一浩 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (70192789)
橋本 幸男 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (50189510)
伊藤 誠 独立行政法人理化学研究所, 中務原子核理論研究室, 基礎科学特別研究員 (30396600)
上田 学 秋田工業高等専門学校, 自然科学系, 准教授 (00369919)
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Keywords | 原子核構造 / 原子核反応 / 応答関数 / 時間依存密度汎関数理論 |
Research Abstract |
本年度は、主として時間依存密度汎関数理論を用いた原子核の応答計算を行った。特に、乱雑位相近似方程式の新しい解法として、有限振幅法(FAM)を提唱し、これを用いて、ヘリウムからニッケルまでの軽核〜中重核領域において、Skyme密度汎関数を用いた完全自己無撞着なRPA計算を系統的に実行した。計算は変形の効果を取り入れた3次元座標空間表示における計算で、光吸収断面積(電気双極子強度)のエネルギー分布を40MeVまで計算した。軽い核において強度分布の強い分散が見られ、重い核においては、巨大共鳴状態への強度の集中が観測された。これは実験とよく対応している。また、中性子過剰核において、ピグミー共鳴と呼ばれる低エネルギー電気双極子強度の出現に系統性があることが分かった。我々の結果は、s軌道やp軌道といった小さい軌道角運動量の軌道を最後の中性子が占有しているときに現れることを示している。このような変形核を含めた密度汎関数理論による系統的な光応答の解析は世界初である。 また、平成18年度まで開発をしてきた大振幅集団運動理論である断熱自己無撞着集団座標(ASCC)の方法により導いた集団ハミルトニアンの再量子化を行い、初めて励起スペクトルや遷移強度を計算することに成功した。今回は68Seと72Krにおける変形共存現象を対象に計算を実行したが、今後さらに広い領域のさまざまな大振幅ダイナミクスを対象にすることを考えている。
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Research Products
(16 results)