2006 Fiscal Year Annual Research Report
非線形衝撃波加速過程の研究:宇宙線組成異常起源説の検証
Project/Area Number |
17540233
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺澤 敏夫 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (30134662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田 亨 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 助教授 (30218490)
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Keywords | 宇宙線 / 衝撃波加速 / 組成異常 / 宇宙塵 / 非線形効果 / 太陽フレア / アルフェン波 / 音波 |
Research Abstract |
本研究計画では、衝撃波による宇宙線加速過程の研究にかかわる重要なポイントとして、Lucek-Bell機構の議論の定量化、特に大振幅波動による衝撃波ランキンユゴニオ関係の変成効果の推定と、星間塵フラックス推定、非線形効果を持つ惑星間空間衝撃波の解析の続行・観測例蓄積を企画していた。平成18年度の研究により、これら三項目それぞれについて得られた成果は次の通りである: 1.非線形衝撃波加速過程で重要となる大振幅波動の変成効果について、アルフェン波、音波の2つが異なった挙動を持つことを示し、それぞれが卓越する場合、共存する場合のそれぞれについて衝撃波圧縮率、被加速粒子エネルギースペクトルの見積を行った。特に、アルフェン波、音波そして被加速粒子エネルギー密度の間に等分配が成り立つとき、テスト粒子法の取り扱いで得られている古典的べき指数2が回復することを示した。これは従来の結論、「非線形衝撃波加速効果に伴う被加速粒子のべき指数は2未満となる」の見直しを迫るものである。 2.京大MUレーダーに多地点受信網を追加した場合の星間塵フラックス推定のアルゴリズムを考案した。これにより、AMORによる結果を検証するための理論的準備が整った。 3.非線型効果を示す2005年9月7日のX17太陽フレアに伴って放出された惑星間空間衝撃波について、衝撃波構造、特に衝撃波角の推定を精密化し、誤差を従来の約1/3に減らした。ただし、2006年度中には太陽活動の低下に伴い強い衝撃波はほとんど観測されず、非線型効果の例は増えなかった。
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Research Products
(9 results)