2006 Fiscal Year Annual Research Report
中間エネルギー不安定核ビームと固体水素との散乱による酸素20核の密度分布測定
Project/Area Number |
17540252
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
坂口 治隆 宮崎大学, 工学部, 教授 (30025465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 哲也 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (50219896)
市原 卓 理化学研究所, 副主任研究員 (60176302)
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Keywords | Elastic proton scattering / Unstable nuclei / Intermediate energy / Oxygen 20 / Carbon 9 / Solid hydrogen target |
Research Abstract |
前年度に行われたテスト実験の結果に基づき、8月初旬に酸素20不安定核ビーム、および9月後半に炭素9不安定核ビームによる固体水素標的による弾性散乱測定を敢行した。酸素20の実験はネオン22を核子当り390MeVに放射線医学総合研究所の重イオンシンクロトロンHIMACで加速して2次ビーム発生用標的で分解反応をおこさせ、その中から必要な不安定核ビームを選び出す手法で、スピル当り10^5個台の核子当り300MeVの酸素20ビームを作り、実験に使用した。実験に使用する固体水素標的は直径30mm厚さ1mmで表面は薄いカプトンシートで覆われたものを使用した。実験直前まで他のグループが同じビームコースで実験していた為に実験準備は困難を極め、測定の途中に何度も予期しないトラブルに見舞われたが、最終的には測定は成功し、その後半年に渡るデータ整理の結果、不安定核ビームによる中間エネルギー陽子弾性散乱の角度分布を世界で初めて得ることに成功した。 8月初旬の苦い経験を反省し、9月の炭素9の実験は実験現場での1ヶ月に渡る周到な準備の末に行われたので、おおむね順調に進行した。この場合、炭素12ビームを核子当り430MeVまでHIMACで加速し分解反応を用いて核子当り300MeVの不安定核ビームを発生させた。炭素9の場合は励起状態は存在しないことが知られているので5mm厚の固体水素標的を使用することができ収量を増やすことができた。その結果、酸素20の場合に比べてはるかに多くのデータを収集することに成功した。実験後のデータ整理はまだ進行中であるが、すでにきれいな弾性散乱の角度分布のデータが得られており、2007年3月の日本物理学会でその成果を報告した。酸素20、炭素9の実験結果より密度分布を抽出すべく理論面からの解析が現在進められている。これらの実験成果は2007年6月に開催される原子核物理学国際会議(INPC)で報告される予定である。
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Research Products
(3 results)