2006 Fiscal Year Annual Research Report
クォークグルーオンプラズマ中における非摂動的相関の研究
Project/Area Number |
17540255
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
淺川 正之 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (50283453)
|
Keywords | 高エネルギー重イオン衝突 / 有限温度場の理論 / 磁気不安定性 / 相転移 / 粘性係数 / カイラル対称性 / スクイズド状態 |
Research Abstract |
1RHICにおいては、経験的に完全流体を仮定した流体計算、つまり粘性係数をゼロとおく近似を用いた流体計算によって観測量をよく説明できることが知られている。この事実は、クォークグルーオンプラズマは、強い相互作用の漸近自由性により弱く相互作用している系であるという期待と反する。また、RHICにおける異常に早い熱平衡への接近を説明するために、色磁場の不安定性がその機構として提案されてきた。我々は、この一見相反する二つの描像をつなぐ理論として、この色磁場による異常輸送機構により生ずる異常粘性が粒子間の衝突に起因する通常の粘性に対して優勢にあるために弱結合でありながら粘性が完全流体的になるという理論を提唱した。そして、通常は、流体のずれの大きさに対して一定値を取る粘性が、色磁場の大きさとメモリー時間を通じてずれに非線形的に依存するために、ずれの大きさに対して一定値を取らず、ずれが増大するにつれて減少することを見出した。 2非定常・非平衡カイラル場の時間発展の研究においてはコヒーレント状態を試行状態とする変分計算が広く行われてきたが、我々はコヒーレント状態を含む更に広い状態空間としてスクイズド状態を用い、さらに場の相関の生成とその時間発展を研究するため、並進不変性も仮定しない計算を行った。その結果、場の相関距離の増大には平均場を経由しない各モードの揺らぎ間の結合が重要であるということを見出した。これは今までに提唱されてきた増幅機構である、ロールダウン、パラメトリック共鳴のいずれにも該当しない新しい機構である。
|
Research Products
(5 results)