2007 Fiscal Year Annual Research Report
クォークグルーオンプラズマ中における非摂動的相関の研究
Project/Area Number |
17540255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
淺川 正之 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (50283453)
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Keywords | 高エネルギー重イオン衝突 / 有限温度場の理論 / 磁気不安定性 / 相転移 / 粘性係数 |
Research Abstract |
1 RHICにおいては、経験的に完全流体を仮定した流体計算、つまり粘性係数をゼロとおく近似を用いた流体計算によって観測量をよく説明できることが知られている。この事実は、クォークグルーオンプラズマは、強い相互作用の漸近自由性により弱く相互作用している系であるという期待に反する。また、RHICにおける異常に早い熱平衡への接近を説明するために、色磁場の不安定性がその機構として提案されてきた。我々は、この一見相反する二つの描像をつなぐ理論として、この色磁場による異常輸送機構により生ずる異常粘性が粒子間の衝突に起因する通常の粘性よりも卓越するために、弱結合でありながら粘性が完全流体的になることを提唱した。そして、通常は、流体のずれの大きさに対して一定値を取る粘性が、色磁場の大きさとメモリー時間を通じてずれに非線形的に依存するためにずれの大きさに対して一定値を取らず、ずれが増大するにつれて減少するという非ニュートン的振る舞いをすることを見出した 2 さらに、熱平衡状態におけるずれ粘性および体積粘性は、最近2つのグループにより、格子ゲージ理論を用いてゲージ場のエネルギー運動量テンソルのスペクトル関数の原点における傾きを求めることによって測定が行われたが、そのスペクトル関数の関数形が知られていないことや虚時間量から実時間量への解析接続の困難から、その値には未だに不定性があり、QCDにおけるそれらの値がAdS/CFT対応における強結合極限で期待される値に近いのかどうかという問題には決着がついていない。この問題を回避するため、我々は虚時間格子上で相関関数を計算することなしに直接粘性を計算する方法を考案し、その方法を実際の格子QCD計算に適用するための基礎研究を行った。
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