2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540268
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 恵一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70199610)
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Keywords | 宇宙論 / ブレイン重力 / ダークエネルギー / 素粒子統一理論 / 一般相対論 |
Research Abstract |
数年前にスタートしたブレイン宇宙論の研究も大きく進んではいるが、現在でも基礎的かつ重要な問題がいくつか残されている。そこで、本研究では、初心に立ち返り、ブレイン宇宙論全体の方向性を再検討する、つまりブレイン宇宙論において何が基本的に重要か、何を明らかにすることで新しいパラダイムになりうるのかといった問題を考察する。 平成18年度の具体的な研究内容としては、昨年度の研究成果を元に、主に次の2点に焦点を当て、研究を遂行した。 (1)ブレイン衝突など従来のインフレーションモデルとは異なる初期宇宙モデルの研究 D.Wands氏、D.Langlois氏と行ったブレイン衝突の解析や、高水裕一氏とのドメインウォール衝突に伴うブレイン宇宙の再加熱の解析などをすでに解析しており、研究背景は整っていたので、今年度はさらにそれを推し進め、以下のことを明らかにした。(i)重力の影響を考慮し、ブレインやバルク時空のダイナミクスを解析し、ブレインの衝突に伴い、ブラックブレインが形成され、ブレイン宇宙は常にその外に存在することを示した。(ii)ブレイン上にフェルミ粒子が拘束されている状況を設定し、衝突により、その拘束がどのように影響を受けるか考察した。その結果、衝突速度や結合定数の値に依存し、真空のブレイン宇宙に移る確率が変化することを明らかにした。 (2)M理論を基礎にしたびブラックホールの研究 これまでも超ひも理論やM理論に基づく有効作用を用いた多くの研究がある。ブラックホールの研究は、超ひも理論の現象論的アプローチとして初期宇宙の研究と同じぐらい重要で、今年度はブラックホール解の構成及びその性質の解析に焦点を絞った。M理論の有効作用と考えられる11次元超重力理論を基礎に、ブレインが重要な重力源となるブラックホール解の新しい構成法を与え、新しい4次元回転ブラックホール解を構成した。
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Research Products
(9 results)