2005 Fiscal Year Annual Research Report
原子核ニュートリノ反応による超新星元素合成、ニュートリノ振動の解明
Project/Area Number |
17540275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
梶野 敏貴 国立天文台, 理論研究部, 助教授 (20169444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 和光 国立天文台, 光赤外研究部, 主任研究員 (20321581)
野本 憲一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90110676)
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Keywords | 宇宙物理 / 原子核 / ニュートリノ / 超新星 / 元素合成 |
Research Abstract |
超新星爆発直後の外層(炭素・酸素層、ヘリウム層)では、原子核・ニュートリノ反応が進行中にショック波が到達して爆発的元素合成を引き起こし、ファウラー・キャメロン元素合成過程によってリチウム(Li7)やボロン(B11)が多量に作られることが明らかにされた。ニュートリノ振動効果を取り入れない範囲では、これら軽元素の生成量は、超新星で発生するニュートリノのエネルギースペクトルを特徴付ける温度T(ν型)に対して非常に強い依存性を示すことを見いだした。ファウラー・キャメロン元素合成過程の種核となるトリチウムやヘリウム3が、高エネルギーニュートリノによるヘリウム4の破砕反応で生成されるからである。これにより、1990年代初頭からの大問題であった「銀河の化学進化におけるB11、Li7の過剰生成問題」が、μτ型ニュートリノの温度が従来予想される温度よりも低いと仮定することで解決できることを理論的に示した。この理論予想が最近の超新星爆発にともなうニュートリノ輸送過程の大次元数値シミュレーションで検証されつつある。 さらに、超新星ニュートリノの各フレーバーの温度、従ってエネルギー分布に大きな違いがある(超新星エネルギーの階層構造)ために、物質振動(MSW)効果を通して元素合成量が大きく影響されることを定量的に明らかにした。具体的には、ヘリウム層で合成されるリチウム7およびボロン11の元素量が、超新星内部の異なる温度・密度を示す層でのニュートリノ物質振動効果に強く影響され、従って、未定の振動パラメータ(混合角θ13、および、質量階層、つまりノーマルか逆転か)の大きさを反映した痕跡が元素量に見いだされたのである。現在、パラメータ依存性を詳細に調べるとともに、天体観測および隕石の定量分析による理論の検証方法を提案中である。
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Research Products
(7 results)