2006 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面上の希土類元素誘起一次元ナノ構造体の電子状態と相転移現象の研究
Project/Area Number |
17540288
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 一之 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (70261542)
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Keywords | 低次元ナノ構造体 / 相転移現象 / 光電子分光 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 Si(111)表面上に1/6原子層(ML)のイッテルビウム(Yb)を吸着することによって形成するSi(111)-(3×2)疑一次元構造体の価電子帯電子構造、および吸着Ybの価数を光電子分光により調べた。その結果、この表面が半導体的な電子状態を有することのみでなく、価数が2価であり、吸着量が1/6MLであることを報告した。またユーロピウム(Eu)吸着si(111)-(3×2)と同様に、表面電子構造がSi(111)表面上に1/3MLのアルカリ金属を吸着させることによって形成される一次元(3×1)構造体と酷似していることも報告した。 EuによってSi(111)表面に誘起される疑一次元構造体シリーズのうち、角度分解光電子分光を用いて中間相である擬一次元(5×4)構造体の価電子帯電子構造を初めて測定した。その結果、Si(111)-(5×4)疑一次元構造体が半導体的な電子状態を有することと、この構造体の表面電子構造がsi(111)表面上に1/6MLのEuを吸着させることによって形成される擬一次元(3×2)構造体と、1/2MLのEu吸着によって形成される一次元(2×1)構造体の電子構造を合わせたものであることを報告した。 不活性電子対の特性を有することから、Si表面上のタリウム(Tl)原子は希土類元素と同様の価数転移をすると予測されていた。しかし、光電子分光によりTlの吸着量に依存した内殻準位を測定した結果、Si(111)表面上のTlの6s^2電子が不活性電子対を形成することでどの吸着量においても価数が1+であり、過去の文献に予測されていたような価数転移がないことを報告した。
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Research Products
(3 results)