2007 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面上の希土類元素誘起一次元ナノ構造体の電子状態と相転移現象の研究
Project/Area Number |
17540288
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 一之 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (70261542)
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Keywords | 低次元ナノ構造体 / 相転移現象 / 光電子分光 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 Si(111)表面上に3価の価数を示す希土類金属のうち,ディスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),ガドリニウム(Gd)やサマリウム(Sm)を吸着させて形成する希土類シリサイド薄膜の,希土類金属の吸着量に依存した表面構造と電子構造、状態に関する知見を得ることを目的に光電子分光を中心とした測定を行った。その結果希土類金属の吸着量が1原子層(ML)の時に作製されるシリサイドの表面構造が希土類のイオン半径によって異なし,大きなイオン半径を有するDyやSmでは格子不整合に起因する複雑な再構成表面を示し,小さなイオン半径を有するDyやHoでは(2√3×2√3)構造を示すことを明らかにした。電子構造に関しては,すべての表面で半金属的な非常に似ているものを有することを観測した。また電子構造の周期性が(1×1)であることから,シリコンと希土類金属の相互作用がイオン的であると結論した。膜厚が5ML以上の希土類シリサイドは(√3×√3)構造をとり,電子構造が半金属的あることももとめた。 不活性電子対の特性を有することから,希土類元素と同様の価数転移が予想されていたタリウム(Tl)吸着Si(111)表面のうち,吸着量が1/3MLで形成される(√3×√3)表面の電子構造をもとめた。その結果,他のIII族元素と同じ表面周期性を有するにもかかわらず,Tlの価数が1価であることに由来し,電子構造が異なることを求めた。 重元素であるビスマス(Bi)吸着Si(111)表面を基板として用いることにより有機分子単結晶薄膜を作製し,有機分子単結晶の最高占有分子軌道の電子構造を初めて観測するとともに,電荷移動メカニズムに関する知見を得た。
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Research Products
(9 results)