2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 伸也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70239614)
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Keywords | 超格子 / 半導体 / 強磁場 / 量子輸送 / カオス / 非平衡 / ランダウ量子化 / ワニエ・シュタルク量子化 |
Research Abstract |
本年度は半導体超格子におけるエネルギー散逸と縦方向輸送との関係を調べた. 超格子の成長軸方向に磁場を印加することにより,擬1次元系もしくは擬0次元系を実現することができる.この低次元化により,伝導電子が関与することができる非弾性散乱の範囲が狭められる.その結果,非弾性散乱時間が増加し,縦方向の電気伝導率が低下する. 海外共同研究者であるノッティンガム大学のEaves教授のグループが次元性の低下による伝導度の減少に関して,複数の試料を用いて,詳細な測定を行った.本年度は,その測定結果と,非平衡グリーン関数法による計算結果との比較を行った.その結果以下のようなことが分かった. 1.実験的に得られた電流電圧特性を半古典論に基づく理論式にフィッティングすることより,非弾性散乱時間を見積った.その結果,理論的な予想通り,磁場による閉じ込めが増すに従って非弾性散乱時間が増加することが確認された. 2.非弾性散乱時間の増加の様子を,サイクロトロンエネルギーをミニバンド幅で割った値の関数としてプロットするとユニバーサルな曲線に乗ることが分かった. 3.シュタルク・サイクロトロン共鳴条件だけではエネルギー散逸に寄与しないため伝導度は増加しない,という非平衡グリーン関数法の結果が実験的に確かめられた. 本年度の研究の成果は,人工的なナノワイヤーや,量子ドット超格子などを用いた新規デバイス開拓に密接に関連している.
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Research Products
(2 results)