2005 Fiscal Year Annual Research Report
活性な半導体マイクロ物質集合系の光応答に関する研究
Project/Area Number |
17540300
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
野嶋 俊司 横浜市立大学, 大学院・国際総合科学研究科, 教授 (90347287)
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Keywords | 量子光学 / 光共振器 / フォニック結晶 / レーザ / 1次元系 / 半導体物性 |
Research Abstract |
空気中に同じサイズのマイクロ構造がチェーン状に連鎖し閉ループを成す擬似的な1次元構造を考える。この構造は、上から眺めると太平洋に浮かぶ沢山の小島からなる環礁のように見えることから、「フォトニック環礁(photonic atoll)」と名付けている。これをひとつの光共振器としてとらえ、その様々な光応答効果について理論的に検討した。このような構造は、擬似的な1次元フォトニック結晶とみなすことができ、フォトニック結晶研究のひとつのバリエーションとして興味深い物理を提供すると共に有意な応用を生むであろうと考えられる。 得られた結果を以下に箇条書きする。(1)周波数軸上に準連続的にモードが分布しているが、幾つかの周波数領域ではモードが全く存在しない。これは、ロッドが周期的に配列することに伴って生じる一種のバンド・ギャップとみることができる。(2)バンド・ギャップの中に孤立した局在的なモードが見られる。周期性の乱れに光が局在化することは考えられないので、このモードは、狭いながらも一つのバンドを形成している可能性がある。(3)バンド端で大きなQ値を示す。(4)得られたモードには、Q=10-100程度の一定値をもつモード群(Aと呼ぶ)と、それよりはるかに大きなQ値をもつモード群(Bと呼ぶ)の、2系列があるようにみえる。モード群Aは環礁内部を走行する光のモードに対応し、他方、モード群Bは鎖状に配置したロッドに沿って走行する光のモードに対応するものと考えられる。(5)現在、最大のQ値として0.8×10^<15>が得られている。この値は、周期を可視光線の波長程度のl=0.7μmとすると、驚くべきことにτ=1秒もの長い光寿命に対応する。これは、「フォトニック環礁」により極めて高性能な光共振器が得られる可能性を示唆している。 以上述べたように、本研究では、フォトニック結晶的な分布帰還効果とWhispering Gallery Modeの持つ特徴とを組合わせることにより、1秒もの長い光寿命をもつ超高性能な光共振器を提案した。
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Research Products
(4 results)