2005 Fiscal Year Annual Research Report
磁性および蛍光用の新規な酸化物-硫化物複合型半導体の開発
Project/Area Number |
17540302
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松下 裕亮 東海大学, 開発工学部, 助教授 (30256789)
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Keywords | 結晶成長 / 格子欠陥 / 磁性 / 光物性 |
Research Abstract |
現在、磁性、蛍光体として研究されているのは2元化合物がほとんどであるが、遷移金属、希土類、キャリアドープの原子を置換できるサイトが少なく、これ以上の多様性が望めなくなりつつある。その解決のため、より優れた磁性半導体、蛍光体性能を得る母体材料として、サイトの多様性の大きな3元素以上を含む酸化物、半導体、硫酸化物型の材料を取り上げる。まず、これらの化合物・固溶体が安定して出現する組成領域を明らかにする。また、希土類、遷移金属の原子を高濃度に添加し、発光・伝導・強磁性発現機構の解明、格子欠陥の同定を行い、各種の性能の向上のための対策も提案する。 様々な硫化物、セレン化物や酸化物との組み合わせを考える。まず、元素や化合物を用いた組み合わせでの熱分析やX線回折などにより、3元素以上を含む酸化物、半導体、硫酸化物型化合物への合成過程の解析を行った。また、安定的な合成のための相図も作成した。これらを基に作製した結晶・焼結体について、電気抵抗率、光吸収、PL、組成分布などで評価した。これまでの研究成果を以下に示す。 (1)MnドープCulnSe_2結晶の相図から、Mnを10%以上過剰のCu_<1-x>Mn_xInSe_2ではMnSe, InSe化合物が、CuMn_xIn_<1-x>Se_2では、Cu_3Se_2,MnSe_2化合物が析出した。縦型ブリッジマン法により作製した単相のCu_<1-x>Mn_xInSe_2結晶はn形を示し、光学ギャップはノンドープ結晶より大きくなった。一方、CuMn_xIn_<1-x>Se_2結晶ではp形伝導を示し、光学ギャップはノンドープ結晶より小さくなった。これらから、CuInSe_2のCu, Inサイトに、ある程度のMnが置換されていることがわかった。 (2)デラフォサイト型酸化物CuAlO_2から導き出される一連のCuIIISnO_4系新物質の焼結体合成を試みた。そのX線回折・光吸収の結果から、CuScSnO_4、CuMnSnO_4、CuFeSnO_4、CuNiSnO_4の4つは、新物質の合成が確認された。さらに、CuScSnO_4、CuNiSnO_4は、PLなどにより高純度化によるワイドギャップの発光素子としての可能性があることを見出した。 (3)紫外発光素子や透明pn接合デバイス用の期待されているLaCuOSにおいては、合成法や基礎物性などの課題が多く残されている。この硫酸化物について、様々な原料からの固相反応法による焼結体作製を検討した。その結果、出発原料としてLa_2O_3+La_2S_3+CuSまたはLa_2S_3+CuOを用いて作製した場合、この化合物の単相は、従来の報告にある焼成温度より200℃下げることができた。特に、後者は、今回、新たに見出した組み合わせからの合成であった。 今後、それらの結果を結晶・焼結体作製条件にフィードバックさせ、安定性が高く、また組成の制御性が良く、半導体機能性が優れている単結晶・焼結体・薄膜の成長を目指す予定である。
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Research Products
(4 results)