2005 Fiscal Year Annual Research Report
STM/STSによる層状ダイカルコゲナイドナノチューブの基底状態の研究
Project/Area Number |
17540308
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市村 晃一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50261277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 悟明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10222308)
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Keywords | 層状化合物 / ナノチューブ / STM / STS |
Research Abstract |
層状化合物NbSe_2で構成されたナノチューブにおいてSTM/STSを行った。NbSe_2ナノチューブ試料は気相反応法により作成された。劈開したグラファイト上に、溶媒中で超音波分散させたNbSe_2ナノチューブを滴下することによりSTM/STS測定用の試料を準備した。室温でのSTM像から、300-2000nm程度の長さのNbSe_2ナノチューブが観測された。走査プロファイルからこれらのナノチューブの径は2-50nmと見積もられた。このうち、径が10nm以下の細いものは単層NbSe_2ナノチューブ、それ以上の太いナノチューブは多層であると考えられる。これまでの透過電子顕微鏡による研究では多層NbSe_2ナノチューブのみが観測されていたが、本研究により単層NbSe_2ナノチューブが見つかったことから、カイラリティーに対応した物性が明らかになることが期待される。また、単層カーボンナノチューブではよく見られるバンドル構造が見出された。走査プロファイルからは、バンドルの径は50-100nm程度であり、径が約2nmの単層NbSe_2ナノチューブから構成されていることがわかった。さらに、1本の単層NbSe_2ナノチューブが2本に分岐した構造、いわゆるY-ジャンクションが見つかった。Y-ジャンクションはカーボンナノチューブでも見られるものだが、応用面において興味深い構造である。 STS測定においては、今のところ再現性のあるトンネルスペクトルが得られていない。ノイズを低減するなど技術的な問題を解決することが必要である。STS測定の精度を上げ、電荷密度波や超伝導の発現とカイラリティーとの関連を明らかにすることが今後の課題である。
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Research Products
(6 results)