2006 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導・超流動体における、時間反転対称性をもつ量子渦の理論
Project/Area Number |
17540314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20261547)
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Keywords | 超伝導 / 渦糸 / 準古典近似 / 電子状態 / STM / 異方的超伝導 / 分数渦 / 不純物効果 |
Research Abstract |
前年度に開発した、量子渦まわりの電子状態の解析的理論に、LDA(密度汎関数法)によって得られたバンド構造を取り込んで、ボロカーバイド超伝導体(YNi2B2C)の超伝導渦糸状態における局所状態密度を計算し、実験結果との比較検討を行った。さらにLDAによるバンド構造を取り入れたドップラーシフト法により磁場中超伝導状態の熱伝導度、比熱の磁場方向依存性も計算し、熱伝導度と局所状態密度の実験結果を統一的に説明する超伝導ギャップの異方性(ノードの位置や極大、極小の位置)を決定した。熱伝導度の磁場方向依存性は、ノードの位置に敏感であり、渦糸まわりの局所状態密度は超伝導ギャップの最大値、極大値がフェルミ面上のどの位置にあるかに敏感に依存する。両実験結果は相補的な情報を与えるために、それらの実験結果からフェルミ面全体における超伝導体ギャップの関数形を推測できるというのがわれわれの得た知見である。これらの知見は、理論が解析的に与えられているためにフェルミ面の各点に対応する準粒子の寄与を分析できたことによって得られている。さらに磁場方向を回転させながらc軸に垂直な面におけるSTM像を撮ることにより、3次元超伝導体において、フェルミ面全体における超伝導ギャップの振る舞いを知ることができることを指摘し、回転磁場中でのボロカーバイド超伝導体(YNi2B2C)における渦糸まわりの電子状態の計算を行った。より基礎的なテーマとして分数量子磁束を持つ渦糸まわりのアンドレーエフ状態についてその、束縛状態の数と分数磁束の関係が普遍的であることを示し、実空間における電子状態の異方的パターンの数値計算と解析的解釈を行った。
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Research Products
(5 results)