2005 Fiscal Year Annual Research Report
超音波計測によるカゴ状構造物質のラットリングの研究
Project/Area Number |
17540318
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
根本 祐一 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (10303174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 直也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80242171)
後藤 輝孝 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60134053)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 超伝導 / 物性実験 / 超音波 / 低温物性 / スクッテルダイト |
Research Abstract |
超音波実験を行い以下の事柄を明らかにした。まず重い電子超伝導体PrOs_4Sb_<12>において,熱活性型のラットリングが消失する低温で量子トンネリングに起因する弾性定数(C_<11>-C_<12>)/2の1/Tに比例するソフト化がT_C=1.85Kまで続くことを見いだし,超伝導直上まで二重縮退したオフセンター量子状態が存在していることを明らかにした。PrOs_4Sb_<12>のオフセンタートンネリングによるソフト化がT_C=1.85K以下で温度に依らない振る舞いをすることから,超伝導状態では四極子揺らぎが消失しており,PrOs_4Sb_<12>の重い電子超伝導とオフセンタートンネリングが強い相関をもっていることが分かった。さらにPrOs_4Sb_<12>とBCS型超伝導体であるPrRu_4Sb_<12>の混晶系Pr(Os_<1-x>Ru_x)_4Sb_<12>, x=0.3,0.5の超音波実験を行い,それぞれにおいてラットリングに起因する超音波分散を観測した。超音波分散の傾向はRu濃度が増すにつれて小さくなり,PrOs_4Sb_<12>でカゴ中の非調和型ポテンシャルの大きさが最小になり,ラットリングの緩和時間が最も長くなっていることが分かった。PrRu_4Sb_<12>では超音波分散が観測されなかったことからラットリングやトンネリングは存在せず,PrOs_4Sb_<12>の重い電子状態とその超伝導にオフセンタートンネリングと伝導電子との結合が重要であることを明らかにした。また他のPr化合物である非クラマース二重項基底をもつPrInAg_2の超音波実験を行い,弾性定数(C_<11>-C_<12>)/2の1/Tに比例するソフト化を見いだした。このソフト化は相転移を示さないにもかかわらず100mK以下で温度に依らない振る舞いを示し,四極子揺らぎを伝導電子が遮蔽し四極子近藤一重項基底が実現していることを示唆する結果を得た。このように電気四極子揺らぎを起源とする重い電子や超伝導,四極子近藤効果の基本問題の理解が進んでいる。
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Research Products
(17 results)