2006 Fiscal Year Annual Research Report
超音波計測によるカゴ状構造物質のラットリングの研究
Project/Area Number |
17540318
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
根本 祐一 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (10303174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 直也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80242171)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 超伝導 / 物性実験 / 超音波 / 低温 / スクッテルダイト |
Research Abstract |
超音波を用いた弾性定数の測定を行い以下の事柄を明らかにした。重い電子超伝導体PrOs_4Sb_<12>で発現しているラットリングによる超音波分散がRuで希釈することで徐々に消失していくことを観測した。PrRu_4Sb_<12>はBCS型超伝導体でありラットリングが存在しないことから,PrOs_4Sb_<12>の重い電子超伝導とカゴに内包された希土類の非調和オフセンター振動との関わりを議論した。また,磁性を担う4f電子が存在しないLaOs_4Sb_<12>の実験を行い,超音波分散を観測しラットリングの存在を明らかにした。これにより,4f電子が存在しなくても内包原子と伝導電子の相互作用があればラットリングを示すことを明らかにした。さらにLaOs_4Sb_<12>の低温超音波実験を進め,4K以下で弾性定数のソフト化を観測した。これは従来我々のグループで発見したLa_3Pd_<20>Ge_6での量子力学的なトンネリングが充填スクッテルダイトLaOs_4Sb_<12>においても発現していることを示唆しており,熱活性型のラットリングが消失したあとに低温での基底状態の特徴が現れていることを意味している。次に,3元系R_3Pd_<20>Ge_6ではラットリングが存在し,R_3Pd_<20>Si_6では超音波分散が観測されずラットリングが存在しないことを明らかにした。これらの物質群の系統的な超音波実験により,ラットリングが発現するためにはカゴ構造に加えて,伝導バンドの構造が重要であり,まさに電子-格子相互作用により非調和性の大きな原子・電子系の量子状態が生じることを提起した。これらの成果は物理学会シンポジウム(2007年春季大会・鹿児島大学・カゴに内包された原子の局所振動-ラットリングと量子効果-)においても活発に報告されており,新しい物性物理学の問題として今後の発展が期待されている。
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Research Products
(11 results)