2007 Fiscal Year Annual Research Report
加圧下ドハース・ファンアルフェン効果による圧力誘起超伝導体の重い電子状態の研究
Project/Area Number |
17540325
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
摂待 力生 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00251041)
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Keywords | 圧力誘起超伝導 / 反強磁性 / フェルミ面 / dHvA効果 |
Research Abstract |
本年度は,(1)結晶構造に反転対称性をもたないCeIrSi_3の圧力誘起超伝導の性質、(2)CeIrSi_3のドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果によるフェルミ面,(3)CeCoGe_3の圧力誘起超伝導の発見、(4)LaTGe_3(T:遷移金属)のdHvA効果によるフェルミ面について研究をおこなった. CeIrSi_3はネール温度T_N=5Kの反強磁性体で、1.6GPa以上の圧力下で超伝導が発現し始め,T_Nが消失する量子臨界点近傍の2.5GPaで超伝導転移温度がT_<sc>=1.6Kの最大値をもつ.上部臨界磁場H_<c2>は、反強磁性と超伝導が共存している2.2GPa以下では異方性はあまりないが,2.3GPa異常で異方性が大きくなり始める。フランス・グルノーブル強磁場実験施設で実験をおこない、2.60GPaでは[001]方向では40Tを超えるような,異常に大きな値となることを見出した.また,CeIrSi_3の電子状態を解明するために,加圧下もふくめたCeIrSi_3のdHvA効果の実験を行った。dHvA振動数の角度依存性からそのフェルミ面は参照系であるLaIrSi_3のフェルミ面と大きく異なることがわかった。これまで磁気秩序を示すセリウム化合物のフェルミ面は4f電子が局在したフェルミ面で説明できるものであったが、この物質のフェルミ面は4f電子が遍歴しており、その遍歴したフェルミ面が磁気秩序を担っていることが示唆される。 また、CeCoGe_3の圧力誘起超伝導をブリッジマンアンビル、ダイアモンドアンビルを用いた高圧電気抵抗測定から見いだした。超伝導は4GPa付近から現れ始め、6.5GPa付近でTc=0.7Kであった。磁気的な性質や異方性はCeIrSi_3とは異なるものの、H_<c2>が大きな異方性を示すなど、CeIrSi_3と似た超伝導特性をもつことがわかった。
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Research Products
(8 results)