2006 Fiscal Year Annual Research Report
チタンおよびバナジウム酸化物における金属-非金属転移機構の分光学的検証
Project/Area Number |
17540329
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 仁 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (90243550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 正博 広島大学, 放射光科学研究センター, 助手 (00335697)
伊賀 文俊 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助教授 (60192473)
田中 新 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助手 (70253052)
谷口 雅樹 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (10126120)
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Keywords | 金属-非金属転移 / Ti_2O_3 / XAS / LD / 3d電子配置 |
Research Abstract |
最近、分担者である田中は、Ti_2O_3およびVO_2で生じる金属-非金属転移(MIT)の機構について新しい統一的なモデルを提案した[1]。Ti_2O_3の場合約450Kで半導体相(低温側)から金属相(高温側)に転移する。このときTiイオン対の電子配置(3d,3d)が、(a_<1g>↑,a_<1g>↓)(半導体相)から、(a_<1g>↑,e_g(π)↑)(金属相)に変化し、この変化がMITの原因であるとした。VO_2の転移もほぼ同様なシナリオになる。更に、電子配置の変化は、Ti 2p-3d吸収スペクトル(XAS)の線二色性(LD)に顕著に現れることも指摘した。 本年度は、昨年度に引き続き、Ti_2O_3単結晶に対して、300K(非金属相)から520K(金属相)の間の温度数点において、Ti 2p-3dおよびO 1s-2p XAS/LD実験を、広島大学放射光科学研究センターBL14で行った。Ti 2p XASでは、昨年度見られたLDの変化が再現され、300、520KでのTi 2pスペクトルの解析からそれぞれ、(a_<1g>↑,a_<1g>↓):(a_<1g>↑,e_g(π)↑)=0.55:0.45、(a_<1g>↑,a_<1g>↓):(a_<1g>↑,e_g(π)↑)=0.15:0.85であると結論された。LDの温度変化は450K付近で滑らかに観測され、3d電子配置の変化はMITに伴うものである。このことは両相で、3d電子配置に著しい変化があることを示しており、田中のモデルを支持する[1]。同時にO 1sスペクトルから、O 2p状態にも変化があることを見いだした。また、Ti 2p発光スペクトルの測定を行うことにより、Ti 3d軌道の交換エネルギーが0.4eV程度であることを明らかにした。 [1]A.Tanaka, J.Phys.Soc.Jpn.73,152(2004).
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Research Products
(4 results)