2005 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的フラストレーションをもつ4fホール系の圧力誘起磁気秩序相
Project/Area Number |
17540330
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
梅尾 和則 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (10223596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畠 敏郎 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (40171540)
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Keywords | フラストレーション / 圧力 / YbRhSb / YbAgGe / 重い電子系 / メタ磁性 / 磁化 / 比熱 |
Research Abstract |
YbRhSbは斜方晶ε-TiNiSi型の構造をもち、2.7K以下で弱い強磁性を示す。一方、YbAgGeは六方晶ZrNiAl型構造をもち、0.8Kと0.65Kで2段の反強磁性転移を示す。両者のYbイオンは幾何学的フラストレーションを示す三角格子や、擬カゴメ格子の配列をしている。2GPa以上の圧力で急激に増大する両者の磁気転移温度の振る舞いは近藤効果とRKKY相互作用との競合では理解できず、フラストレーションの緩和または磁気モーメントの急増を示唆する。 そこで、本研究では、上記の予想を確かめ、これらの化合物の基底状態に対する幾何学的フラストレーションの影響を調べることを目的とした。本年度は3GPaまでの静水圧下における単結晶YbRhSbの磁化とYbAgGeの比熱を測定した。その結果、YbRhSbの磁化は1.2GPaまで単調に増加することが判った。また、加圧とともに2Kでの残留磁化も増加することが判った。さらにメタ磁性転移を示す磁場が圧力とともに減少し、2GPa付近で0に漸近することが判った。このことは2GPa以上で強磁性秩序が安定化されることを示唆している。一方、YbAgGeの場合、転移温度付近のカプス状の比熱の振る舞いが、約1GPa以上で非常に鋭く大きなピークに成長した。このことは、僅か1GPa程度の圧力でフラストレーションが部分的に緩和され、抑制されていたエントロピーが回復したことを示唆する。これらの結果を踏まえ、最終年度となる来年度は、一軸圧下における比熱と磁化を測定し、フラストレーションの効果を明確にしていきたい。
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Research Products
(5 results)