2005 Fiscal Year Annual Research Report
πd系有機磁性半導体における強磁性発現、誘電異常及び磁気伝導制御
Project/Area Number |
17540336
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野口 悟 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (70180718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 武和 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (00159732)
杉本 豊成 大阪府立大学, 理学研究科, 教授 (30093256)
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Keywords | 有機磁性半導体 / 強磁性 / 反強磁性 / 強磁場磁化 / 磁気伝導 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に従い、屈曲ドナー型の(EDT-TTFVO)_2FeBr_4及び(BEDT-TTFVS)FeBr_4の強磁場磁化測定を行った。共振回路法を用いて0.4Kから10Kまでパルス磁化測定を行い、これを解析することによって強磁性磁気秩序温度を決定した。これらは比熱のピーク温度と一致していることが確認された。また、(BEDT-TTFVS)FeBr_4については1.5K以下で磁化曲線に明瞭なヒステレシスを観測し、強磁性の決定的な証拠を得た。そこで、(BEDT-TTFVS)FeBr_4系についてTTFVSをTTFVOで置き換えた試料とBrをClで置き換えた試料を合成し、系統的な極低温磁化測定を行ったが、(BEDT-TTFVS)FeBr_4以外の試料はいずれも強磁性を示さずに、反強磁性を示すことが明らかになった。その理由については、おそらく結晶構造の低対称化によるキャント磁性が(BEDT-TTFVS)FeBr_4で実現していると推測される。一方、ベンゾ基を含む屈曲ドナー型の(Benzo-TTFVS)_2FeBr_4反強磁性体についても極低温強磁場磁化測定を行った。これら一連の結果は、低温物理学国際会議(LT24、8月、米国フロリダ、オーランド)で成果発表を行うとともに、国内学会では、日本物理学会(9月、京田辺)(2006年3月、松山、予定)、分子構造討論会(9月、東京)で発表を行った。なお、この研究に関し、現在、3編の論文が出版(含、予定)されている。また、本年度、主要備品としてデジタルオシロスコープを購入し、既設の装置に組み込んだが、これは多くの計測、演算機能を有しており、その性能をフルに活用するためのプログラムを整備中である。また、来年度はピックアップコイルの製作等、磁化測定のハードを整備し、精密な磁化測定を目指す予定であり、次年度の課題のひとつである。
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[Journal Article] Metallic/semiconducting behaviors and antiferromagnetic ordering of FeBr_4^- d spins in (Benzo-TTFVS)_2 ・MX_4 (M = Fe, Ga ; X = Cl, Br)2005
Author(s)
T.Hiraoka, Y.Kamada, T.Matsumoto, H.Fujiwara, T.Sugimoto, S.Noguchi, T.Ishida, H.Nakazumi, H.Aruga Katori
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Journal Title
Journal of Materials Chemistry 15
Pages: 3479-3487