2005 Fiscal Year Annual Research Report
希薄磁性半導体の磁性および輸送現象に関する理論的研究
Project/Area Number |
17540339
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
久保 健 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30015862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 信夫 青山学院大学, 理工学部, 助教授 (00238669)
堀田 知佐 青山学院大学, 理工学部, 助手 (50372909)
安田 千寿 青山学院大学, 理工学研究科, COE研究支援者 (20398564)
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Keywords | 希薄磁性半導体 / 強磁性 / 輸送現象 / CPA / モンテカルロ計算 |
Research Abstract |
1、希薄磁性半導体を記述する最も簡単な模型に対して、コヒーレントポテンシャル近似(CPA)を用いて、磁気相図および電気抵抗率を求めた。その結果、希薄磁性半導体の磁気的な性質は、弱結合領域と強結合領域に大別される事が明らかにされた.弱結合領域では、強磁性はキャリアー密度の広い領域で現われるが、キュリー温度は低い。これに対して、強結合領域では高いキュリー温度が得られるが、強磁性はキャリアー密度が磁性不純物の密度以下の場合にしか現われないことが明らかになった。また磁性不純物によるキャリアーに及ぼすクーロン引力が、系を弱結合から強結合の方向へ変化させ、高いキュリー温度を実現する上で重要な働きをすることが明らかになった。 2、コヒーレントポテンシャル近似を用いて電気伝導率を計算し、弱結合の極限で見られるDurudeピークが強結合領域では観測されない事を示した。この結果は実験と一致している。またパラメタを変化させる事により、電気伝導率は多様な温度依存性を示しうるという結果が得られたが、この点は実験とは一致していない。これは揺らぎが十分とりいれられていない近似のためだと考えられる。 3、上記の研究で用いた近似の妥当性を探るために、数値シミュレーションを行った。2次元の少数系の結果は、近似計算と同様な傾向を示している。現在さらに大きな系でのシミュレーションを実行している。 4、同じ模型に、揺らぎの効果を取り入れた動的平均場近似を適用し、強磁性相転移点を求めた。この結果はまだ予備的な段階にある。 5、局在スピンと伝導電子が相互作用している一次元系での磁壁のエネルギーを計算した。その結果、磁壁形成のエネルギーが正であるのは、基底状態がハーフメタルの場合に限られる事がわかった。
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Research Products
(3 results)