2005 Fiscal Year Annual Research Report
キャリアドープされた量子スピン系における電荷とスピンの秩序
Project/Area Number |
17540345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
松田 雅昌 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90260190)
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Keywords | 中性子散乱 / スピン相関 / 量子スピン系 / フラストレーション磁性体 |
Research Abstract |
1.低次元系 CuO_2鎖にホールドープが可能なCa_<2+x>Y_<2-x>Cu_5O_<10>系(1次元磁性体)において、磁化、比熱測定等が行われており、高ホール濃度側でスピングラス的な振る舞いを示すことが報告されていた。この振る舞いをミクロな視点から明らかにするために、中性子非弾性散乱実験を行った。磁気励起のホール濃度依存性を調べた結果、鎖に垂直方向の相互作用はホールドープとともに減少するが、鎖方向の相互作用はほとんど変化しないことがわかった。さらに、高ホール濃度領域では、ホールの部分的秩序化を示唆する結果を得た。これらの結果から、高ホール濃度領域で見られるスピングラス的振る舞いの起源がフラストレーションによるものではなく、ホールの相分離により反強磁性クラスターが出来るためであることを明らかした。 2.フラストレーション系 ACr_2O_4(A:非磁性元素)型スピネル化合物では、正四面体の頂点にCrが存在し、この正四面体が三次元的に結合したパイロクロア格子が形成されている。この構造のために、Cr^<3+>モーメント(S=3/2)間に働く幾何学的磁気フラストレーションに起因した興味ある性質を示すことが大きな特徴である。この系にはキャリアをドープすることも可能であるが、手始めに絶縁体物質の研究から始めている。今年度はCdCr_2O_4の磁性を調べるために中性子散乱実験を行った。その結果、7.8Kにおいて磁気相転移が起こるが、c軸が伸びて立方晶から正方晶への構造相転移も同時に起こっていることがわかった。また、磁気構造は波数ベクトルQ=(0,d,1)(d=0.09)を持つスパイラル構造であることを明らかにした。来年度はスピネル化合物の中性子散乱研究を中心に進める予定である。
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Research Products
(4 results)