2005 Fiscal Year Annual Research Report
幾何学的位相と物性論:トポロジカル秩序による相分類と量子相転移
Project/Area Number |
17540347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
初貝 安弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80218495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠 真生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90376492)
丸山 勲 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (20422339)
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Keywords | 幾何学的位相 / 量子液体 / ベリー接続 / トポロジカル秩序 / フラストレーション / ダイマー / 量子相転移 / 時間反転 |
Research Abstract |
通常の相転移理論は局所的な秩序変数を用いた対称性の破れをその基礎とする。しかし、近年大きな興味を集めている量子液体相においてはこの対称性の破れを伴わない場合が多く、たとえ伴う場合でも本質的ではない。「トポロジカル秩序を用いた相分類並びに量子相転移」の研究とは「幾何学的位相」に基づき、秩序変数によらずに量子力学的状態を「相」として特徴づけようとする試みであり、量子液体相においてその有効性は極めて高い。 本年度は一般のパラメター依存のハミルトニアンに対し、1つの固有状態を一般次元の固有空間に拡張したMultipletに対してベリー接続を一般に定義し、相分類に対する新しいトポロジカル秩序変数(作業変数)を構築することを目標とした基礎的研究を行った。 まず具体的な量子液体相における幾何学的位相を評価する際には必須の、離散格子上でのベリー接続と位相不変量に関する研究を行いその結果を出版した。またこれを用いて量子相転移を伴う系での具体的位相不変量の計算を実行しその有効性を示す結果を出版した。 一般にベリー接続から定義されるベリー位相はゲージ依存の連続量であるが、そのゲージ依存性を詳しく検討することにより、反ユニタリ対称性(時間反転、粒子-ホール対称性等)を持つ系において「量子化」されたベリー位相を定義することに成功した。これを用いた新しい「局所的なトポロジカル秩序変数」を提案し、フラストレートしたスピン系、ダイマー系等の具体的な量子液体相に対して具体的な計算を行った。(投稿中)このスキームは一般の量子液体相に対しても有効であると考えられる。 またエンタングルメントエントロピーと呼ばれる量子系固有の量を用い量子液体相の特徴付けを試みた。(投稿中)なおこの量はトポロジカル秩序相固有のエッジ状態と極めて深い関係をもつ。
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Research Products
(6 results)