2005 Fiscal Year Annual Research Report
散逸構造としてのキラル対称性の破れ転移の化学反応系における実現
Project/Area Number |
17540361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
朝倉 浩一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30222574)
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Keywords | キラル対称性の破れ / 散逸構造 / 開放化学系 / キラル自触媒反応 / 不斉増幅反応 / 結晶成長 / 非線形動力学モデル |
Research Abstract |
本研究計画は、散逸構造としてのキラル対称性の破れ転移を、化学反応系において実験的に実現させることを最終的な目標としている。その第一年度にあたる本年度は、 1.これまでに提案してきた結晶化系におけるキラル対称性の破れ転移のモデルを、実験結果をより正確に再現するモデルへ改良することを試みた。 2.不斉増幅反応の機構についてこれまでは定性的な解析を行ってきたが、実験結果を正確に再現するための定量的モデルの開発を試みた。 3.キラル自触媒的に進行することが報告されている化学反応について、その機構を速度論的に解析することを試みた。 その結果として、まず1.については、これまでのモデルでは結晶成長の中で遅い素過程の速度定数を全て0とみなしたことで、ラセミ状態の定常解からホモキラル状態の定常解へは不連続に転移したが、これらに微小な値を代入することでこの転移は臨界値における分岐となり、実際に実験において観察される60〜70%程度の光学純度が再現できた。また、空間不均一性を考慮したモデルとすることで、実験において観察される光学純度のばらつきも再現できることが明らかとなり、これら研究結果は学術誌に論文投稿中である。また、2.については、必要な化学実験はほぼ全て終了し、現在は、全ての実験条件における結果を再現できるモデルの提案とそのモデルにおける各パラメーターの同定を検討している。また、3.についてはまだ準備段階であるが、実験を行うために必要な原料の合成方法、および正しい実験結果を得るためのその保管方法、ならびに各物質の高速液体クロマトグラフィーによる定量方法については確立された。
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Research Products
(1 results)