2005 Fiscal Year Annual Research Report
パラメトリック誘導ラマン散乱法による超短レーザーパルスの生成に関する研究
Project/Area Number |
17540378
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 栄一 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (90357369)
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Keywords | 超短パルスレーザー / ラマン散乱 / パラメトリック散乱 / 2波長励起 |
Research Abstract |
パラメトリックラマン散乱により超短パルスレーザーの生成につながる高次ストークス光群を形成するためには、レーザービームの回折による高次ストークス光成長抑制現象を回避することが不可欠である。本研究ではこの抑制現象を回避する方法の開発とパラメトリックラマン散乱法による超短パルス生成の有効性の実証を目的としている。その回折効果を抑制する方法の一つとして、導波路(中空ファイバー)中で2波長励起を行う実験を行った。中空ファイバー中ではその中をレーザー光が伝播する際に、空間的高次モードの減衰率が高く、励起光は最低次モードで伝播するため、高次モードとなる回折成分を効果的に抑制できることが期待される。 本研究では高いラマン利得と低い分散、小さなストークスシフトを有する重水素のJ=0->2の回転ラマン遷移を用いる。下準位の状態数を最大化するために液体窒素により冷却が可能なラマンセルを製作し、その内部に中空ファイバーを設置して実験を行った。まず予備的な実験として常温における水素をファイバー内に充填して、その回転ラマン遷移を用いた実験を行った。その結果、最高ではストークス光、アンチストークス光側に対称な9次のストークス光群が得られた。今回新たにパラメトリックラマン散乱に関する1次元シミュレーションコードを開発し、実験で得られたスペクトル形状と比較したところ、良い一致を示した。 従って、中空ファイバーを用いることにより成長抑制現象を効果的に回避し、シミュレーションが予期する超短パルス形成につながる、1次元的相互作用が実現されたと考えられる。利得が10倍高い液体窒素温度の重水素回転ラマン遷移を用いることでより、より高次のストークス光群の形成が期待できる。
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