2006 Fiscal Year Annual Research Report
パラメトリック誘導ラマン散乱法による超短レーザーパルスの生成に関する研究
Project/Area Number |
17540378
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) |
Principal Investigator |
高橋 栄一 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (90357369)
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Keywords | 超短パルスレーザー / ラマン散乱 / パラメトリック散乱 / 2波長励起 |
Research Abstract |
超短パルスレーザー光の生成を目指して、パラメトリックラマン散乱により高次ストークス光群を形成しレーザー光のスペクトル帯域を拡大する技術を開発する。この手法では励起レーザービームが強度分布を有することに伴う回折効果により高次ストークス光の成長が抑制されてしまう現象が問題であった。本研究ではこの抑制現象を回避する方法の開発とパラメトリックラマン散乱法による超短パルス生成の有効性の実証を目的としている。その回折効果を抑制する方法の一つとして、導波路(中空ファイバー)中で2波長励起を行う実験を行った。中空ファイバー中ではその中をレーザー光が伝播する際に、空間的高次モードの減衰率が高く、励起光は最低次モードで伝播するため、高次モードとなる回折成分を効果的に抑制できると期待される。実験を行った結果、純粋な回転ラマン散乱の高次ストークス線の発生次数として50次を得ることに成功した。この値は純粋なストークス線として発生させて次数としては世界最高であり、1次元シミュレーションから理論的に期待される次数とほぼ一致した。中空ファイバーから出力された高次ストークス光の空間プロファイルはほぼ最低次のファイバーモードであり、平行に伝播していることを確認した。これらの結果より、中空ファイバーにより回折が抑制され、1次元に近いパラメトリックラマン相互作用を実現できたと考えられる。さらにこの高次ストークス光群の成すスペクトル帯域幅は、理想的なパルス圧縮を行うことにより数フェムト秒のパルスを得ることが可能であり、本手法の有効性が示された。また、高いラマン媒質の圧力を用いることで、振動と回転のストークス線を重畳した場合、おおよそ400次の200nmから600nmに及ぶ非常に広帯域なストークス光群の発生にも成功した。本研究を発展させ次のステップではパルス圧縮を実証することによって、ミリジュール以上のエネルギーを有する数フェムトからアト秒にいたる超短パルスレーザー光を発生することができると期待される。
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Research Products
(1 results)