2005 Fiscal Year Annual Research Report
光和周波発生法(SFG)によるバイオマテリアル表面近傍の水和構造に関する研究
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17540380
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐野 陽之 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (80250843)
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Keywords | 水和構造 / 表面吸着 / 生体材料 / 非線形光学 / 光和周波発生 |
Research Abstract |
生体中のたんぱく質分子やバイオマテリアル材料の機能と反応性が、周囲の水分子の水和構造に大きく影響されることが示唆され,これらの高分子や材料の水和水分子構造の評価が重要になってきている。本研究では、表面感度が高く構造の対称性に敏感な振動分光法である光和周波発生(SFG)法を用い、材料基板表面に吸着した水分子の配向と秩序の定量的な評価を行うことを目的とする。本年度は以下の研究を行った。 1.SFG測定システムに参照試料との強度比較を可能とする試料自動交換機構と赤外光強度モニターシステムを組み込んだ。これにより、測定データのばらつきが大幅に低減し定量的解析の精度が向上した。 2.基板表面に吸着した水のOH伸縮振動のSFG強度が、基板表面のクリーニング法に大きく影響されることが分かった。洗浄用有機溶媒の高純度化とUV洗浄のための光源の強化を図ることにより、再現性のある測定データが得られるようになった。 3.非イオン性ポリマー界面活性剤である2種類のプルロニック(L64,17R4)がガラス基板に吸着したときのSFG測定を行った結果、吸着したプルロニック分子の親水性部分(PEG)が自由に動ける場合(L64)に、基板表面の吸着水の量が減少することが分かった。これは、高い運動性をもつPEGが水の吸着を阻害するためと考えられる。また、このプルロニック(L64)の濃度を高くしていくと、吸着水分子の秩序が低下することが分かった。 4.プルロニックを構成する親水性部分(PEG)と疎水性部分(PPG)を、それぞれ単独で基板に吸着させてSFG測定を行った結果、吸着水分子量は両者でほぼ等しかったがPPG吸着の場合に吸着水分子構造の秩序が低下することが分かった。疎水性部分のクラスレート水和が秩序低下の原因と考えられる。
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Research Products
(3 results)