2006 Fiscal Year Annual Research Report
光和周波発生法(SFG)によるバイオマテリアル表面近傍の水和構造に関する研究
Project/Area Number |
17540380
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Research Institution | JapanAdvanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐野 陽之 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助手 (80250843)
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Keywords | 水和構造 / 表面吸着 / 生体材料 / 非線形光学 / 光和周波発生 |
Research Abstract |
生体中のたんぱく質分子やバイオマテリアル材料の機能と反応性が、周囲の水分子の水和構造に大きく影響されることが示唆され、これらの高分子や材料の水和水分子構造の評価が重要になってきている。本研究では、表面感度が高く構造の対称性に敏感な振動分光法である光和周波発生(SFG)法を用い、材料基板表面に吸着した水分子の配向と秩序の定量的な評価を行うことを目的とする。本年度は以下の研究を行った。 1.溶液としてリン酸緩衝液(濃度0.1M)を用いポリマー(PEG, PPG, L64,17R4)吸着表面のSFG実験を行ったところ、配向した界面水の量がポリマー種に依存しないという結果を得た。これは低イオン強度の場合と異なる結果であり、ポリマーの運動性の効果よりイオンの水和の方が界面水の構造に対する影響力が大きいことを示唆している。 2.生体適合性が比較的良いとされるチタン表面に存在する酸化チタンの水和状態を調べるため、アルコキシド法を用いて酸化チタン薄膜を作成し、pHの異なる溶液との界面のSFG観測を行った。ガラス界面と比較すると、アルカリ性溶液では顕著な違いは無く、酸性溶液において界面水の量が多くなり、中性溶液では界面水構造の秩序が低下することがわかった。 3.シランカップリング剤を用い、ガラス基板上にアミノ化SAMs(自己組織化単分子膜)と強い疎水性を示すフッ化アルキルSAMsを作成し、界面水のSFG観測を行った。アミノ化基板では、酸性溶液中でプロトン化によるクーロン相互作用の効果によりよく配向した界面水が増加することが確認された。一方疎水性基板では、酸性溶液においてSF光強度が極端に小さくなった。これは、SAMsの疎水性部分とガラス基板上のシラノール基の界面水を配向させる方向が逆であるため、打消しあいにより全体として同じ方向に配向した界面水の量が少なくなったためと考えられる。
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Research Products
(3 results)