2006 Fiscal Year Annual Research Report
高密度地震観測記録からの微細不均質性のイメージングとその物性量の定量的推定
Project/Area Number |
17540388
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
蓬田 清 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (70230844)
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Keywords | 地殻不均質性 / 散乱 / 高周波地震記録 / イメージング / アレイ観測 / スペクトログラム / 物性量 |
Research Abstract |
アレイ地震観測の解析より、高周波地震波形記録のコーダ波部分でのコヒーレントな散乱波成分を抽出し、それを時間・周波数領域でのスペクトルグラムのピークとしてマッピングする手法を確立した。背景媒質での散乱・減衰効果の補正およびアレイ観測記録のf-k解析において自己回帰モデルを導入して、客観的かつ高分解能の散乱波強度およびその到来報告を得た。また、偏向面解析より散乱モード(P-PとP-S散乱の区別)の情報という3成分記録の利点を初めて活用した。その結果、従来の研究に対して精度よい3次元(特に深さ)空間分布、周波数毎の特徴、散乱モード毎の相違といった新しい情報を、微細不均質性のイメージングに導入することに成功した。また、詳しい空間分解能のテストも行い、その結果の信頼度も定量的に示した。これらの手法を長町・利府断層付近でのアレイ観測データに用いて、その地域の微細不均質性の詳しい特徴を得るばかりか、地震活動等との関係も論じることができた。これらの成果は、2編の論文として印刷中である。 さらに、スペクトルグラムの時間・周波数領域での(1)拡がりと(2)アスペクト比を定量化して、各不均質性の性質を分類した。これらのパラメターは、それぞれ、地殻内の不均質性の多重散乱の度合いと散乱体の速度の大小という物性量と直接関係しており、散乱理論や積分境界法による数値シミュレーションを用いて、モデルでの不均質性の各種パラメターを変化させ、そこから観測される散乱波のスペクトルグラムを直接求め、上記の観測量と比較した。こうして不均質性を決める物性量として、サイズ、速度異常比、インピーダンス比、形状、クラスターの様式(小さな不均質性の数密度、空間的拡がりなど)を変化させ、実際に観測されたスペクトルグラムから、どの物性量が推定可能であるかを詳細に検討した。これらの成果は論文として投稿中である。
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Research Products
(4 results)